第八十話 空と梓と風紀の乱れ③
時はあれから数分後。
それぞれが(特に胡桃が)落ち着いた頃。
空は氷菓へと話を切り出す。
「それで氷菓さんは何しに来たんですか?」
「おまえの顔を見に来た……それではダメかしらぁ?」
「まともに返事する気ないなら、時雨に連絡して連行してもらいますよ。今はちょっと立て込んでいるんで」
と、空は立て込んでいる理由である胡桃を見る。
すると氷菓は冷たい笑みを浮かべたのち、空へと言ってくる。
「おまえの顔を見に来たのは本当よ……七割くらいはそれが要件だもの」
「じゃあもう三割は?」
「梓胡桃……時雨がここに来れば会えるって、そう言っていたからわざわざ来たの」
と、氷菓から名前を出され、ぴくんっと反応する胡桃。
氷菓はそんな彼女へと言う。
「おまえ、風紀委員になる気はない?」
「あ、あたしが風紀委員……ですか?」
「そう、試合を見ていたのだけど。おまえの異能、風紀委員の仕事にピッタリよ。風紀になれば、そこの恋人君と一緒に居られる時間も増えるから、悪くない話だと思うのだけど」
「こ、恋――っ」
「あら? 同居しているくらいだから、空と胡桃はそういう関係だと思っていたのだけれど……違うのかしらぁ? 闘技場で奴隷がどうの言っていたけれど、まさか本当なわけ――」
空としても恋人になったつもりはない。
胡桃も困っているようだし、ここは空が訂正しよう。
空はそう考え、口を開こうとする。
だがしかし。
直前で胡桃が大声で、氷菓へと言ってしまうのだった。
「あ、あたしは奴隷なんだから! あたしは空のことが大好きになる予定の、空専用奴隷なんだからね! 恋人とは違うから勘違いしないでよね!」
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