第七十九話 空と梓と風紀の乱れ②
「男女で同居、風紀の乱れね。はっきり言って空、おまえにはガッカリしたわぁ……風紀委員として自覚が足りないようね」
と、言ってくるのは氷菓である。
彼女は胡桃を無視し、空が寝ているベッドに腰掛けてくる。
そして、氷菓は空のおでこを撫でながら続けてくる。
「どこに行っていたの、おまえ。この数日間、私がどんなにおまえを心配したか」
「いや、絶対にしてないですよね……氷菓さん、人間に興味ないじゃないですか」
「そうね、でもおまえには少しだけ……こうして部屋に見舞いに来るくらいには興味があるわぁ」
なでなで。
なでなでなで。
「って! いつまでなでなでされてんのよ!」
っと、氷菓の手を弾きとばしたのは胡桃である。
そんな彼女は氷菓を指さしながら、空へと言ってくる。
「っていうか、こいつ誰よ! どうしてあたしたちの部屋に、無断で入って来るのよ!」
「あたし達の部屋って……ここは僕の部屋なんだけど」
「あんたまだそれ言う!? ほんっと小さい男ね!」
「胡桃が大雑把すぎるんだよ」
と、空はここでようやく身を起こす。
そして、額をぽりぽりかいた後、胡桃へと言う。
「えっと、この人は一色氷菓先輩。僕が所属している風紀委員の委員長で、学内序列は五位。成績も優秀だから、胡桃が上を目指すなら接点を持っておいて――」
「え、この人があの一色先輩!? 序列五位の!? あ、あたしより上の……?」
「そう、だけど。なんでそんなに驚くの? 胡桃は序列十位なんだから、上が居てと――」
「そうじゃなくて! なんであんたの周りに、序列上位の人が密集してるのよ!」
と、再び空をガクガクしてくる胡桃。
空はそうされながらも、「たしかに」と考えるのだった。
(序列一位の時雨も、序列五位の氷菓さんも風紀委員だ。きっと風紀委員には強い人が集まるんだろうな……そんな中で序列最下位の僕って)
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