第七十六話 空はダンジョンを踏破してみる②
「ついでにもう一つ、受け取れクウ」
アルハザードから投げ渡されたのは技能書だ。
空がそれを開いてみると、そこに書かれていたのは――。
●魔法『ブラックスミス』
一度見た武器を完全に複製することが出来る。ただし、作れる武器は構造が簡単かつ携帯できるものに限る。
また、この魔法で作り出した武器は、使用者からの魔力の供給が途絶えると消える。
「まぁ、レア技能というやつだな」
と、言ってくるのはアルハザード。
彼女は服に着いた埃を払いながら、続けて言ってくる。
「長年手つかずのダンジョンならば、その様なものもあるだろう」
「そんな……レア技能なら僕じゃなくて、アルハザードさんが受け取るべきじゃ」
「俺はいらん。魔法で作り出す武器など、たかが知れているからな」
アルハザードがどういう意図で言っているのか。
それは今の空にはわからない。
(でも、確かに無刀で剣技を使って、あの威力を出せる人だ……)
きっと、このような魔法はレア技能でも、必要としていないに違いない。
と、空がそんなことを考えていると、アルハザードは再び言ってくる。
「さて、俺はもう帰る。あとはそこの転送陣に乗るだけだ……貴様らも勝手にしろ」
と、アルハザードすたすたと歩き、帰って行ってしまう。
空はそんな彼女の背が消えるまで頭を下げる。
その後、彼はシャーリィへと言うのだった。
「シャーリィ、おぶっていくから乗って」
「わかった! 乗る!」
と、素直に飛び乗って来るシャーリィ。
こうして、空の初めてのダンジョン攻略は終わりを告げたのだった。
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