第七十一話 空と初めてのダンジョンボス②

 スケルトンキングは目に不気味な光を宿し、ついに動き始める。

 最初の動作はゆっくりと立ち上がり、剣を構えるだけだ。


(さぁ、どうでる? いずれにしろ最初の攻撃を躱して、魔眼を発動して――)


 と、空の思考はそこで途絶える。

 なぜならば、空の視界全てを突如謎の壁が埋め尽くしたからだ。


「!?」


 これはスケルトンキングの攻撃だ。

 盾を使った攻撃――いわゆるシールドバッシュをされたのだ。

 けれど、そう気が付いた時には。


「がはっ!?」


 空の身体はふっとび、遥か後方にある壁へ激しく打ち付けられる。


 体中が痺れ、熱い。

 一撃でほぼ致命傷といえるダメージ。


 これ以上の継戦はまずい。

 だが、スケルトンキングは止まる気はないに違いない。


「っ!」


 空が痛みに耐え、顔を上げたその時。

 目の前には剣が迫ってきていた。

 空の顔を突き刺すようにまっすぐに――。


(動け、動け動け動け動け!)


 空は身体に全力で命令を出し、左へ転がる事によりなんとか攻撃を躱す。

 しかし、スケルトンキングの攻撃速度から考えて、まだ油断はできない。

 故に――。


「魔眼『王の左目』!」


 出し惜しみはしない。

 戦闘能力に圧倒的な開きがある以上、反動に構っている場合ではない。


 空は魔眼の力を利用し、凄まじい速度で体勢を立て直す。

 そして、同時凄まじい速度でスケルトンキングへと突撃。


「はぁあああああああああああああああああああああっ!」


 剣技『一閃』。


 魔眼による身体強化。

 スケルトンエリートから奪った両手剣。


 それらを乗せた技は、スケルトンキング目がけ凄まじい速度で放たれる。

 だが。


 直後に響いたのは鉄と鉄がぶつかりあう澄んだ音。

 見れば、スケルトンキングは容易そうに空の剣戟を受け止めていた。


「っ……まだまだ!」


 空とスケルトンキングの戦いは続く。

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