第七十話 空と初めてのダンジョンボス
空が扉を開き入った室内――そこは真っ暗な空間だった。
何かが居るような気配は今のところない。
しかし、雰囲気だけはある。
「…………」
本当ならばここで引き返したいところだ。
けれど、そういうわけにもいかない。
空は歩みを更に進める。まっくらな部屋の中央付近へ向けて。
すると。
「っ!?」
突如響いたのは背後で扉が閉まる音である。
次いで室内にも変化が起きる。
部屋の入り口付近の地面から、青白い炎が噴き出したのだ。
それは壁にそって室内を一周し、周囲を不気味に照らし出す。
だが、空はそんな不気味な演出には驚けなかった。
なぜならば、照らし出された室内に居たのは――。
「これがスケルトンキング……っ」
四メートルはあるに違いない骨の巨人。
頭には王冠。身体は鎧に覆われ、背にマントを羽織っている。
さらに、左右の手に盾と剣を持っている。
まだスケルトンキングは俯き、完全に動きを止めている。
それにもかかわらず、放ってくる圧が凄まじい。
向かい合っているだけで、思わず後退してしまいそうになるほどに。
(出てきたのが無事スケルトンキングだったのはよかったけど)
シャーリィの言う通りだ。
目の前にいる魔物は、これまで空が倒してきた相手とは露骨に格が違う。
それが容易にわかる。
「……っ!」
空は恐怖を闘争心で隠し、構えた両手剣を握りしめる。
とその時、スケルトンキングの目に不気味な光が宿るのだった。
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