第六十七話 空とボス部屋

 蜘蛛肉はうまかった。

 空が生きてきた中で、一番うまい肉だった。


 とまぁ、それはさておき。

 空はシャーリィへと本題についての話をする。


 それはここがどこなのかという話だ。

 このフロアは一本道――左に階段、右に扉。

 階段から空が降りてきたことを考えると、実質このフロアには扉しかない。


 ダンジョンフロアとして、ここは明らかに異質だ。

 といことは。


「ねぇ、シャーリィ。ここってひょっとして、僕達が目指していた場所なの? ダンジョンの最奥。つまり――」


「多分そうだ」


 と、シャーリィは奥の扉を指さしながら、空へと言ってくる。


「あの扉の向こうに、このダンジョンのボスが居る」


「じゃあ、そのボスを倒せば僕達は転送陣で帰れる。ってことであってるよね?」


「それで合ってる……でも」


「シャーリィ。ここまで来て、心配するのはもうやめよう。どうせボスをどうにかしないと、このダンジョンから抜け出せないで死ぬんだ」


「…………」


 と、シャーリィは途端にしゅんとしてしまう。

しかし、彼女はすぐに心の整理を付けたに違いない。

シャーリィは「わかった!」と、空へと続けて言ってくる。


「シャーリィはもう心配しない! だから、シャーリィはもっと有意義な話をするんだ!」


「有意義な話?」


「このダンジョンの傾向と、そこから想像できるボスの話だ!」

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