第六十二話 空と魔眼の力
時は小部屋で休んでから数時間後。
現在、空はシャーリィを背負い、再びダンジョン最下層目指し歩み続けていた。
「クー、ストップだ……この先は例の場所だ」
と、聞こえてくるのはシャーリィの声。
彼女は空へと続けて言ってくる。
「引き返した方がいい……この先からはダンジョンスパイダーの気配がする」
「でもシャーリィ、もうここ以外に行ってないところがないと思う。結局さっきも引き返したけど、またこの道に来ちゃったし」
おそらくこの先に、下へ降りる通路があるに違いない。
ダンジョンスパイダーも、厄介なところに居座ってくれているものだ。
空はシャーリィを静かに、そして優しく床へと下ろす。
そして、スケルトンエリートから入手した両手剣を構え、彼女へと言う。
「シャーリィ、やっぱりこの先に行くしかない。戦って倒すしか――」
「クー、駄目だ……ダンジョンスパイダーはレベル2で倒せるような魔物じゃないんだ! スケルトンエリートはなんとかなっても、ダンジョンスパイダーは危険なんだ!」
と、言ってくるシャーリィは、足が痛いに違いない。
にもかかわらず、それを忘れたかのような必死さで、空へと続けて言ってくる。
「シャーリィはクーが死ぬのは嫌だ! 傷つくのは絶対嫌なんだ! だから、他の道を探すんだ! もし、もし本当にこの道しかないなら……シャーリィが囮に――」
「シャーリィ、大丈夫。あいつを倒せないと生き残れないなら……あいつを倒せないとシャーリィを助けられないなら、僕は絶対にあいつを倒してみせる」
空は泣きそうなシャーリィの頭に手を乗せたのち。
「クー! 待て、駄目だ!」
と、聞こえてくるシャーリィの声。
それを背後に彼は通路の先へ駆けだすのだった。
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