第五十七話 空は脱出法について考えてみる

 時はスケルトンエリートを倒してから数分。

 場所は崩落現場。


 空は周囲の岩を積み重ねたり、壁をよじ登ろうとしたり、二階層に登る努力をしていた。

 けれど。


「ダメだ、やっぱり落ちてきたところから、強引に登るのは無理だな」


 となると、正攻法。

 階段を探して登るしかないのだが。


「クー……駄目だ、やっぱりここしか風の流れを感じない」


 と、言ってくるのは壁に背を預けているシャーリィである。

 彼女はそのまま元気なさそうに空へと続けてくる。


「きっとこの階層は二階層と直接通じてないんだ……だから、これまでずっとこの階層はギルドから見つからなかったんだ」


「じゃあ、やっぱりなんとかして、ここを登るしかないか」


 空は再び天井に空いた穴を見上げる。

 正直、登るのは厳しいと言わざるをえない。


 壁は凹凸が少なく、天井までは高い。

 先の岩を積み上げる作戦も、難易度が高すぎる。


(ここを登る手段を考えないと、まずいな……せめてシャーリィだけでも、ダンジョンの外に出してあげないと)


 と、空があの手この手を考えていると。


「クー……下に降りよう」


 と、シャーリィは空の考えと真逆のことを言ってくる。

 彼女は真剣な様子で続けてくるのだった。


「ダンジョンを踏破するんだ……そうすれば、きっとこのダンジョンから脱出できる」

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