第四十八話 空は伸び悩んでみる
時は胡桃奴隷宣言事件から数日後。
場所は異世界 『ファルネール』、冒険者ギルドに併設された酒場。
「クー! さっきから元気がないぞ! それにため息ばかりだ!」
と、言ってくるのはシャーリィである。
彼女はパンをハムハム食べながら、さらに続けてくる。
「シャーリィはクーの元気がないと悲しい……もし、シャーリィに解決できることなら、どんなことでもする! だから、ため息の理由を教えて欲しい!」
「あ、ごめん……心配させちゃったね」
「いい! シャーリィはクーの心配をしたいんだ!」
と、そんなことを言って来てくれるシャーリィ。
このまま彼女を心配させるのも、それはそれでよくないに違いない。
故に、空はシャーリィへと言う。
「実はレベルのことなんだけど。最近、全然レベル上がらないから、少し焦っているというか……もう上がらないんじゃないかって、心配になってるというか」
「クー! それは心配しすぎだ! それは普通のことだ!」
と、シャーリィは食事を中断。
彼女はいつもより真面目な様子で、空へと言ってくる。
「前も言った通り、レベルはすっごく上がりにくいものなんだ! 人によっては二十年くらいかけてレベル2になる奴もいるんだ! 当然、レベル3以上になるにはもっと時間がかかる奴もいる」
「え、でも僕は――」
「そうだ! クーはすぐにレベル2になった! それだけでも十分すごいんだ! だから、クーならもうしばらく頑張ったら、絶対にレベル3になれる!」
「そう、かな」
「そうだ! シャーリィが保証――あっ!」
と、シャーリィはテーブルに両手を突き、突然立ち上がる。
そして、彼女は尻尾をふりふり言ってくるのだった。
「クー! ダンジョンだ! ダンジョンで修行をするんだ!」
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