第二十四話 狐娘と最強のヒーロー
「…………」
ピコピコ。
「…………」
ピコピコ。
ピコピコピコ。
時は空が出ていってから数分後。
現在、シャーリィは一人ゲームで遊んでいた。
「あ、死んだ! こいつは軟弱すぎる! どうして一回殴られただけで死ぬんだ!」
このゲームは自分には合わない。
他のゲームをやろう――空からゲームの変え方は教わっているのだから。
と、シャーリィがそんなことを考え、ゲーム機に手を伸ばしたその時。
「っ!」
扉の向こうからとてもいいにおいがしたのだ。
このにおい、間違いない。
「クーだ! クーが帰ってきた! クー! おかえりなさいだ、クー!」
シャーリィはゲームのコントローラーを放り、扉の方へとかけよる。
それと同時、扉から聞こえてくるはノックの音。
そして。
「入りますよ、兄さん」
鍵が回り、開く扉。
シャーリィは入ってきた人物を見て、思わず動きを止める。
なぜならばそこに居たのは――。
「誰だおまえ! どうしてクーの部屋に入ってくるんだ! 出てけ!」
「いや、その台詞……そっくりそのままお返しします」
と、空によく似たにおいの少女。
空と同じ黒髪をミディアムショートにした、やや発育の悪い少女。
空とよく似た上着にスカートを履いている……そんな彼女は言ってくる。
「ここは兄さんの部屋で――っ! その耳と尻尾……あなた、怪人ですか!」
「かいじん?」
「とぼけても無駄ですよ! 兄さんをどこへやったんですか!」
と、謎の少女はシャーリィの方へと手を翳してくる。
シャーリィはそんな彼女へと言う。
「シャーリィはかいじんじゃない! シャーリィはシャーリィだ! クーはさっきの声に呼ばれて、どっかに行ったままだ!」
「放送……そういえば、呼び出しを受けていましたね。なるほど、兄さんのことは納得しましょう。ですが、わたしはプロヒーローとしてあなたの存在を認めるわけにはいかない」
と、部屋の中に突如、光の粒子のようなものが舞い始める。
謎の少女はその粒子を手元に集め、光の剣を作りながら更に続けてくる。
「怪人 『シャーリィ』。最強のヒーローであり、最強の異能 『プロヴィデンス』を持つこのわたしが……あなたを葬ってあげましょう」
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