第二十二話 空と空の人生を変える厄介ごと
『嫌だ! シャーリィも一緒に行く!』
と、案の定駄々をこねたお狐様。
そんなお狐様に大量のお菓子と、楽しいゲームを捧げ宥めてから数分。
現在、空は放送にあった校長室の前へとやってきていた。
「日向空です」
「ん、入りたまえ」
と、空のノックに対し聞こえ来るのは、そんな中年男性の声である。
空はそれに従い。
「失礼します」
すると、中に居たのは先ほどの声の持ち主――校長である。
校長は空に対し手招きをしてきたので、それに従い近寄ると。
「今日は空くんに大事な話がある」
と、やや機嫌がよさそうな校長。
彼はテーブルに手を突き、身を乗り出しながら言ってくる。
「本題に入る前に、空くんは一年生の梓胡桃(あずさくるみ)くんについて知っているかね?」
「知ってますけど……」
ヒーロー養成学校一年。
絶対防御の梓胡桃といえば、かなりの有名人だ。
幼少時から強力な異能に目覚め、英才教育を施されたという梓胡桃。
彼女は周囲の期待以上に成長した。
そんな梓胡桃が世間的に有名になったのは、彼女が小学生の時だ。
なんと、彼女は旅行先で発生した銃乱射事件を、一人で解決してしまったのだ――それも、負傷者を誰一人として出すことなく。
そこから梓胡桃は時の人となった。
マスコミに取り上げられ、テレビに出るなど当然。
中学から今に至るまで、雑誌やテレビで彼女をみない日などないくらいだ。
(それに、梓胡桃は一年生にして学内序列十位……ワーストの僕とは文字通りレベルが違う)
と、空が内心そんなことを考えていると。
「ふっふ~ん」
にまにま笑いで手をこねこねしている校長。
彼は続けて言ってくる。
「突然だが明日、空くんには梓くんと闘技場で戦って負けてほしい!」
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