第十五話 空とヒーローのお仕事②
「ご協力、ありがとうございました!」
と、空に声をかけてくるのは、この世界の警察のような人だ。
彼女は縛られた強盗を連れ、去っていく。
空はそれを見送って。
「ふぅ……無事に終わってよ――」
「クー! 怪我はないか!?」
と、空の言葉を遮り飛びついてくるシャーリィ。
彼女は空の身体をぺたぺたと触りながら言ってくる。
「シャーリィはやっぱり、クーのことが心配だ! 次からは絶対に一緒に戦うぞ! 人間は魔物よりも危険なんだ!」
「大丈夫だよ。それに今回、シャーリィには大事な仕事があっただろ?」
「警備を呼びに行くことがそんなに重要なことか? 強盗を一緒に倒した後でも――」
「倒してから呼ぶと、警備の人が来るまで強盗をこっちで確保してなきゃならない。それはそれでリスクがある……最悪、逃げられる可能性もあるからね」
「むぅ……なんだかわからないぞ! わからないけど、シャーリィはクーの役に立ったのか?」
と、寂しそうな表情のシャーリィ。
空は「もちろん」と声をかけ、そんな彼女の頭を撫でる。
などなど、そんなことをしていると。
「あ、あの……」
声をかけてきたのは店主である。
彼は空へとお金を差し出しながら、続けて言ってくる。
「本当にありがとうございました! あなた様が居なかったら、どうなっていたことか……これ、すくないですけど受け取ってくだせぇ!」
「え、いや……いいですよ! 頼まれて助けたわけじゃないですし」
「でも、とても感動したんです! なにか、なにかしたくて!」
「その気持ちだけで十分ですよ」
と、空は言うが店主は未だ迷っている様子だ。
このまま空がここに居ると、店主に余計に気を使わせてしまうに違いない。
「シャーリィ、行こう!」
「え? あ……く、クー、手! 手が!」
と、何やら慌てた様子のシャーリィ。
空はそんな彼女の手を引き、裏路地を駆けだすのだった。
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