第11話 久しぶりの本気

「が、、、」

神凪はその男に首を掴まれ、もがいていた。なんだ、こいつ、ガードマンの神凪をいとも容易く、、、

「ふん、弱いな、あまりにも弱い。こんな様子では才華を守れないだろうに、、、」

「その手を離せ!」

俺は神凪が取り押さえた男と新たに現れた男2人、合わせて3人を無力化した上で才華の前に立ち、大男に立ち向かっていた。

「お前は、、、そうか、お前が噂の新人ガードマンか。話は聞いているぞ、、、、!」

「くっ、、、」

男は神凪を投げ捨て、こちらに向かって突進してきた。こいつ、でかい割に動きが、、、!

「どおぉりゃぁ!」と雄叫びをあげて、男は拳を振り上げる。バカめ、そんな単純な動きなら読め、、、

「きゃあ!」

まずい、後ろに才華がいる、仕方ない、受け止めるしか、、、

「ぐ、、、」

左腕で受け止めたが、重い。一撃があまりにも重い。こんな痛みはいつ以来だろうか。

「は、、、!」

俺はカウンターを喰らわせようと右拳を出すが、いとも容易く避けられた。

「おっと、すまない、才華を庇ったんだな。お前があまりにも大きく見えたから背後の彼女が見えなかった」

「何のつもりだ、てめえ。ただの通り魔じゃなさそうだが」

「ああ、俺はジンライ。雷の悪魔の力を受け継ぐものだ」

「なんだと?」

「そうか、お前も悪魔から力を得ていたな。なら話は早い、、、行くぞ、、、!」

俺たちはそこから一進一退の攻防を展開した。

「俺は通り魔犯と協力し情報を得た。彼らは才華を襲う際に協力者がいる、俺は才華がいる前でお前と戦える。人は大事な人の前でこそ、本気が出せるものだ!」

右から一発来る!

「俺は強者との戦いを望む!」

更に左からも、、、!

「お前はどうだ?こんな熱い戦いは久しいだろう?」

俺は路地裏のビル群を壁ジャンプして登り、距離を取る。だが、同じようにしてジンライも追ってきた。

「ふはは!無駄さ、俺も悪魔から力を得た存在、これくらい朝飯前だ!」

「くっ、、、」

炎の力なしでこいつを倒せるのか?俺はあの時リョウコとレイコを狼の群れから守ってからは炎を使っていなかった。それは人間相手に使うにはあまりにも強力な力だったからだ。だけど、今の相手は俺と同じ、悪魔から力を得た存在、なら、、、!

「うおおぉぉ!」

もう、容赦はしない、、、!

「そうか、これがお前の能力か!その赤き炎を自由に操り、敵を焼く、、、いいぞ、お前の力をもっと見せてくれ!」

俺は向かってくるジンライにありったけの炎を浴びせた。だが、1つの違和感に気づく。こいつは近接戦闘しかせずに、雷を使ってくる様子がない。一体、彼は、、、


俺は倒れたジンライに馬乗りになっていた。

「は、はは、敗北は久しぶりだ。あの時、佐藤に負けて以来だな、、、」

「何?」

「おーい、大丈夫か!?須藤!神凪!才華ちゃん!」

佐藤チーフがやって来た。

「な、、、佐藤!?」

「お前は、、、ライタ、、、?」

どうやら、ジンライと佐藤チーフは知り合いだったらしい。

「これはどういうことだ、須藤!?何故ライタが、、、」

「、、、事情は俺が話す」

ライタと呼ばれるジンライは語り出した。

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