第10話 心労
「近頃、街中で噂になっている通り魔のニュースです。昨夜、ネイル国内のネイル市内におきまして、路地裏を通りがかった女性が何者かに突如抱きつかれ、声を出さないようにナイフで脅されるという事件が発生しました。つきましては、警察がことの詳細を、、、」
「だって、私たちガードマンは力があるからどうってことないけど、才華ちゃんには大問題ね、これからも目を離さないようにしなきゃ」
俺は同僚の女性、神凪(かんなぎ)と話をしていた。
「まあ、あいつが1人になるのは自宅くらいだろうし、大して問題じゃないだろ」
「とは、言ってもねぇ。ああいう輩が束になってかかった来たら流石に数が多くて厄介じゃない?少人数で対処できるかしら」
「、、、一応チーフに確認を取っておくか」
俺たちは休憩時間に佐藤チーフとコンタクトを取った。
「通り魔か、でもそれは単独犯なんだろう?ならいつも通りの警備で問題ないはずだ」
「しかし、ちょっと気になるんです。女の勘ってやつですかね、心配で、、、」
「大丈夫さ、まあ、勘がいいお前の言うことだ、一応気には留めておくよ。2人とも報告ありがとう」
佐藤に労いの言葉をかけられた後、俺たちは別れ、宿舎に戻っていた。その途中、、、
「あ、あなたは、最近噂のガードマンさんじゃないですか。こ、こんな所で、き、奇遇ですね、、、」
「そうか、俺も有名人だな。それで、誰だお前は。何か用事か?」
「え、ええ。才華さんのことをどう思っているか、し、知りたいんです」
「才華を?まあ、警護する対象としては認識しているよ」
「いえ、ぼ、僕が聞きたいのはそういうことじゃなくて、い、異性としてどう思っているんですか?」
「は?」
俺は正直戸惑った。なんだこいつ、いきなり才華のことを、、、
「なんとも思ってないさ、さっきも言った通り守るべき存在だってことだ、、、俺も早く戻って休みたいんだ。じゃあな」
「あ、、、」
俺は謎の男と別れた。彼が追ってくることもなかった。
数日後、、、
「、、、相馬旧チーフが、、、亡くなられた、、、」
朝礼で聞かされたのは信じたくない出来事だった。
「このことは才華にも報告済みだ。あくまで情報は事実として皆に伝えたいという彼女らの思いから、俺たちにも知らせが回って来た」
朝礼後、、、
「あ、煉太、、、須藤さん、神凪さん、おはよう」
「おはよう、才華ちゃん。ところで、私の前でも彼のことは『煉太郎さん』って呼んでほしいな。あなたには極力自然体でいてほしいから」
「そう?じゃあ、改めて、神凪さん、煉太郎さん、おはよう」
「おはよう才華、気分はどうだ?」
俺は神凪と2人で才華の警護についていた。
「流石にあんまり良くはないかな」
「うん、その気持ちは分かるな。私も小さい頃に両親を失っているから」
「そう、なんだ、神凪さんも同じなんだね」
「一応、俺も同じ感じだ。辛いことがあったら何でも話してくれ」
「ありがとう2人とも、、、うん、私、頑張らなくちゃ、死んじゃったお母さんにも顔向けできるように、、、!」
「ああ、その意気だ。行ってこい!」
それから俺は才華のレッスン場の警護をした。
その夜、、、
才華がレッスン場から出てきた。俺はいつも通り辺りを見張っていた。すると、、、
「うおおぉぉ!」
突如としてナイフを持った男が才華に向かって突進してきた!
「させない!」
神凪がその男の急所を突き、難なく取り押さえる。だが、予想外だったのは、続いて2人、同じように突っ込んできたことだ。
「こいつ、この前の、、、」
その内の1人は数日前に訪ねてきた男だった。
「神凪!こっちの2人は俺が請け負う。お前は、、、」
「きゃ、、、」
「神凪!!」
「神凪さん!」
神凪は更に出てきた1人の男に抑えられ、ナイフで額に小さく切り傷をつけられていた。
「こんな小さな傷で優勢になったつもりかしら?所詮は、、、」
「神凪!上だ!!」
「え、、、」
そこには神凪に向かって落下してくる大男の姿があった。
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