第9話 再会
俺は休日のある日、久しぶりに電気街をさまよっていた。
「あれ、あなたは、、、」
「ん?お前は確か、、、」
「はい、鶴岡圭也です。久しぶりですね、ガードマンさん」
「俺は須藤煉太郎。今はオフだから出来れば名前で呼んでくれ」
「じゃあ、須藤さんって呼びますね。この前はありがとうございました!妹も大喜びでしたよ」
「そうか、それなら良かった。ケイミの容体はどうだ?」
「それがなんと、快方に向かっているんですよ!これもあなたたちのお陰です。本当にありがとうございます!」
「おお、それはいいニュースだな!」
「ええ、お陰様で、、、」
「ところで今日はこんな電気街の奥地でどうしたんだ?何か買うものでもあるのか?」
「はい、ケイミが退院した後に彼女を驚かせたくて、軽く家のリフォームを考えているんです。それでテレビが欲しくてですね、僕はネット環境には強いんですけど、家電系は苦手で、、、」
「そうか、それならこっちにおすすめがあるぞ」
俺は彼を電気街の隅っこにある電気屋に案内した。
「お、この値段なら買えそうですね」
「お客様、今ならここから2割引きでお買い求めいただけますよ!」
「朗報じゃないか、せっかくだし買うのはどうだ?」
「そうですね、買わせてもらいます!」
鶴岡は自宅にテレビを運んでもらう手はずを整えて、他の家電も買い、時は夕方になっていた。
「今日は付き合ってもらってありがとうございました!正直かなり助かりましたよ」
「いや、これも何かの縁だろうしな。俺はこういうのを大切にしたい性分なんだ。気にするな」
「そうですか、でも困ったときは頼りになりますよ!」
俺は鶴岡とメールアドレスを交換してから別れた。
その日の夜、、、
俺は宿舎のベッドで横になっていた。すると、、、
「久しいな、煉太郎」
「久しぶりだな、炎の悪魔。わざわざ出てきて、何か用か?」
「いや、力を分け与えた者の行く末が気になってな。お前の顔を見に来ただけだ」
「そうか、今はジャーナリストの堀田が少し気になってるくらいで特に支障はない。お前の力を借りることはないさ」
「そうか、ならいいんだ、、、」
「、、、」
「、、、俺を憎んでないか?」
「いいや、お前は俺を生き返らせてくれた。だからむしろ感謝してるんだ。こんな体になってもな」
「ありがとう、心の荷が下りたようだ。では、また会う日まで、、、」
「ああ、またな」
炎の悪魔は姿を消した。
俺は彼に余計な心配をさせまいとああ言ったが、本当はどうなんだろう。俺は生き返り、青太郎の安否も知れた。それだけで不死身の肉体を持ってしまったとしても十分だろう。守りたい存在も出来たことだしな。きっと、これでいいんだ、これで、、、
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