第8話 暗雲

俺はある日、才華のダンスレッスンの付き添いに来ていた。

「ワン、ツー、ワン、ツー、、、」

才華も頑張ってるな。俺も警備に注力しよう。

「あれ、あなた、最近話題の優秀なガードマンさんじゃないですか!」

「ん、誰だ、お前。才華に何か用か?」

「いえ、僕はあなたに尋ねたいことがあるんですよ」

「珍しいな、てっきり才華が目的かと、、、」

「あなた、本当は何者なんですか?」

「!?」

その意味深な質問に俺は警戒した。こいつ、どこまで知ってるんだ。

「おっと、申し遅れました。僕はジャーナリストの堀田宗次郎(ほったそうじろう)といいます。あなたはこの前才華さんと一緒に街中を歩いていましたね。彼女とはどういう関係なんですか?」

こいつ、まさか、オフの日の才華を見て彼女の正体を見抜いていたのか!要注意人物だな。

「、、、何かの見間違いじゃないのか?」

「んー、そうですかね。でも、これが公になれば彼女の地位は危ぶまれますよねぇ。あなたにも謎がありそうだ。それじゃあ、僕は忙しいので、また今度」

堀田はそう言い残して去っていった。

あまり良くないな、これは。ことの真相にたどり着かれると、まずいことになる。俺は才華のレッスンの後、彼女にこの事を話した。

「そう、なんだ。私も気をつけなきゃね、、、」

俺は佐藤にも報告していた。才華と出かけたことは隠して、、、

「そうか、報告ありがとう。でもお前の出生は俺も知らん。恐らく旧チーフも知らないだろう。だが、真相を話すのを俺は無理強いするつもりはない。お前の働きを見れば信頼するには十分だしな」とありがたいお言葉をちょうだいした。


後日、、、


「おや、須藤さん、また会いましたね」

げ、また堀田か、、、

「なんだ、こっちは忙しいんだ。お前に構ってる暇はない」

「いえ、あなたにではなく才華さんに用事があるんですよ」

「、、、それなら尚更だ、彼女も時間が惜しいくらいだ」

「そうですか、それならあなたに、、、」

結局こっちに牙を向けるか、どうするべきか、、、

「おい、お前!うちの新人に何の用だ!?」

突然、佐藤チーフが姿を現した。

「お前は最近巷で噂になっているジャーナリストの堀田だろう?お前が厄介なのは重々承知している。所属している会社を教えろ、今すぐ怒鳴り込みにいってやるぞ!」

「おお、怖い怖い。最近の若いもんはこれだから、、、」

堀田は文句をグチグチと言いながらその場を去っていった。

「チーフ、あんた、、、」

「気にするな、須藤。俺だけじゃなくてみんながお前の味方た。困ったときはいつでも言ってくれ」

俺は自分に居場所が出来たのが嬉しかった。それだけの理由があればこの仕事をするには十分すぎるほど、、、

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