第2話

第2話


〜マオの家〜


「壁、直ったね」

「うむ……」

浴室の壁が直った。



マオの母は驚きながらも「業者呼ぶ?」と提案したが、マオは「自分で直す」と言ったのだ。

「うちが女子力で壊しちゃったし〜」

『魔法球』に女子力を込め、攻撃したのだ。マオは苦笑し、壁を直す作業を始めた。それを見た魔王も、作業を手伝うことに決めた。

「貴様を超えるためだ」

「よく分かんないけど、ありがと」

(この小娘……余を責めぬのか)

元々、自分が人間界に来なければ、マオを巻き込むことはなかった。ありがとうと言うのは自分の方なのに。プライドの高い魔王は感謝など言えない。



〜魔界〜


レニーとトラビナが並んで座っている。

「……じゃあ、お前に任せるぜ」

「もし危険だと思ったらすぐに戻ってくるように。あんたは優秀だからね。欠けちゃ困る」

「分かりました!ボクに任せてください!」

ビシッとポーズを決めるショートヘアの魔族。ピンク色の髪、赤黒い尻尾と角……。

「魔王様を取り返してきますね!」

小さな背丈の男……いや、女の子。

「頼んだよ、エマ」


「任務だ任務だ!急げ急げ!」

城を出たエマは急いで人間界へ向かう。

「レニー社長は短気だし、トラビナ司令官は地味に怖い!急いで魔王を捕まえないと!」

小走りで人間界への道を行く。

「でも一番面倒臭いのは……魔王様だよなぁ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る