三日目 後編の1

ぽかぽかと温かい気温の中公園に着くと、なぜか一番に感じた勘定は『寂しい』。

『この快晴で心地のいい天気が気持ちいい』でもなく、『静かな公園が新鮮で楽しい』でもなかった。何かが足りない。大切なものをどこかに忘れてきてしまったみたいな怖さ、寂しさ、落ち着かなさ。


折角この緑溢れる、日を避けることができる公園でベンチもあるのに、ここには独りで居たくない。そんな感情に心を揺らされる。

逃げ出すようにその公園から出る。だんだんと早足になって、足の速さに比例するように涙ご零れてきてしまいそうになる。



次に意識を持った行動をしたのは家の中で枕にうずくまっていた時。

慣れていない、初めて行ったはずのあの公園からは、まるで体が覚えているみたいに歩いてこれた。

気持ちの悪いあの感覚は、どうやっても忘れられそうにない。


「ぐぅー」

私の悩みなんて全く気にかけず、私のお腹は『何か食べたい』っと容赦なく主張してくる。

その間の抜けた音に気がまぎれる。

「…何か食べよう…」

そんなことを思って冷蔵庫を見てみても何も入っていない。生理の時のように体が重くて、動きたくない。


動きたくはなくとも、お腹は減る。

泣き痕を隠す余裕はないから涙で落ちてしまったお化粧と涙ぼくろで酷い顔なのは自覚があるけれども、一番近いコンビニに行くだけだから…もしかしたら御影君に会うかもしれない。そんなことを考えてしまう。少し前までは赤の他人、今は知り合いの域を出ない彼をこんな余裕のない時に思い出すなんてとても不思議なことだと思う。

でも思い出してなお、あのコンビニにいけるほど私のメンタルは強くない。

今からお化粧をする元気がないくて、でもお腹が減る。そんな堂々巡りにはまってしまう。


連絡できる人もいない。

元気もない。

元気のない時にさっきも思い出した

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

12分の3年物語 牛寺光 @511150380031011075

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ