三日目 前編

朝起きぬけに、窓の外を見ると綺麗な晴天だった。

「よし、頑張るぞ!」

これ以上ないくらいのいい天気に元気をもらって準備を開始する。

初めて着るベージュ色のスカートを履いて、去年も着た薄い水色の半袖シャツに袖を通してカーガーデンを羽織って、武装を終わらせる。

改めてバイト面接の準備を確認してネットで調べた質問の内容に回答する練習をしてから面接を受けに行く。

これから面接に行くところは個人経営だという家から近いパン屋さん。昨日のうちに電話をしておいたところ。

「がんばれ。私…」

家から近すぎて地図を見る必要すらない。そんな距離でも今日だけは息が切れてしまいそうなほど疲れた。

「はぁ~ふー」お店の前でちゃんと深呼吸をしてからお店のドアをゆったりと空ける。

「こんにちは~。昨日バイトの面接をお願いしたものなんですか……」

「あ~ちょっと待ってて」

元気な女の人の声がいい匂いのする厨房の方から聞こえてくる。

『待ってて』って言われたからとりあえずまだ温かいパンを眺めて待ってみる。湯気には小麦のいい匂い。朝ごはんを食べていない私にとってこの匂いは飯テロがすぎる。



少しの間、おいしそうなパンを見ていると30歳後半くらいの細身な女の人が厨房から出てくる。

「お待たせ。じゃあ面接…始めましょうか。」

名前と年齢は昨日電話した時に伝えてるから多分面接らしい質問から入るはず……。

「はい。お願いします」

「じゃあ最初にあなたの長所は何ですか?」

事前に聞いていた通り履歴書は使わないみたいだ。それだからこそ私だけの力でどうにかしないといけない…。虎の威は借りられない。

「はい。私の長所は体力があることです。」

この質問は昨日のうちに対策したものの高校生みたいな回答しか思いつけなかった。

「では次の質問です。あなたがバイトに入ることのできる曜日と時間を教えてください」

「はい。日曜日以外の日は午前中から午後まで入ることができます」

「…わかりました。では最後の質問です。パンは好きですか?」

「…はい!」

予想していなかった質問に戸惑ってしまったけど『本音で答えてしまえば伝わってくれるはず』そんな青臭い考え方で自信を持って答える。

「今日この後ってなにか予定ってありますか?」

「…ありません」

しいて言えばここでパンを買って帰ろうと思ってたくらい。

「じゃあ今日から入れる?オープンまでにいろいろは教えるから」

「わかりました。お願いします。」

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