鳥
富升針清
第1話
「いやいやいや、アンタの気持ちも解るさ! しかし、それじゃ他の奴には通じねぇ。向こうはアンタのことを何とも思ってねぇだろうなぁ。幸せの形ってのは押し付けちゃあ意味がない。アンタも知ってるだろ? そうだ、そうさ。アンタの非じゃない。それは私が保証するさ。え? 私の保証書なんて要らない? 馬鹿野郎! 私のサインはプレミアものだぞ!? 仕事の書類にも中々サインなんかしてやらないんだからね!? え? あ、オーケー、オーケー。その件も含めて、話そう。何言ってんだ、私とアンタの仲じゃないか。愚痴だってなんだって付き合うに決まっているだろ? 美味しい焼き鳥屋があるんだ。仕事が終わってからで構わないから。じゃ、いつもの場所で」
携帯を耳から離すと、髭の男が帰り支度を終えたシルクハットの男に向かって手を挙げる。
「よぅ、兄弟。今から帰りかい?」
「やあ、兄弟。君もその様だね。電話聞こえたよ、誰かと焼き鳥屋にいくんだろ?」
「ああ、落ち込んでるらしくてね。まったく、困った奴だよ。美味しい焼き鳥でも食べて元気になってほしいんだ」
「優しいじゃないか。友を大切にするとは素晴らしい。その友の名は?」
「アモンだけど?」
「悪魔か、君は」
あと、仕事の書類にはサインしろ。お前で止めるな。
おわり
鳥 富升針清 @crlss
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。鳥の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
何とか方向修正したいマン/富升針清
★17 エッセイ・ノンフィクション 連載中 56話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます