第10話 翌日には唐突に
「エルミアさんはここで良かったのかい?」
ークリスタル学院ー物置部屋ー
フェリアのご機嫌取りをした後、その後は特にこれといった事も無く1日を終えた。
そして、翌日の物置部屋で、学院長がエルミアさんに質問していた。ここには僕とフェリア、エルミアさんに、学院長しかいない。リアさんは生徒会で不在だ。
「ここでよかったのか。とは、どういう事ですか?学院長。」
僕とフェリアはこっそりと書類にサインを書きながら聞き耳を立てる。気になる事は気になるのだ。フェリアも興味があるらしい。書類の手が止まっている。
「エルミア嬢。君はとても優秀だからな、いざとなればどこの部活でも入れるだろう。そんな君がこんな部活にいてもいいのかとね。」
悪かったですね。始めたのは学院長ですけど。
そう僕が一人心の中で思いながら再び耳を傾けたら話は終わっていた。
「……エルミア、1番は譲らないけど」
「分かってますよ。フェリアちゃん」
「話が見えて来ないけど、抱きつくのはやめよう、フェリア」
「……嫌だ。」
春とは言ってももう5月。梅雨に入る前なため、少し蒸し暑い。そんな状態で抱きしめられると汗が心配になる。少しだけ、フェリアが不機嫌になっている。何があった?
ご機嫌取りもかねてフェリアの頭を撫でていると、ドアが音を鳴らしながら開いた。音の方に目を向けると、ドアの隙間から帽子を被った少女がドアの隙間から顔をだしていた。頭に新入生バッチがついた帽子を見る限り、今年の入学者だろう。ここには学院の探検かな?
「………あのぅ」
「学院本館なら後ろの廊下を真っ直ぐ行って右に曲がると行けるわ。」
「……あっ、はい!ありがとうございました!」
フェリアの方を見て何かを感じたのか、何も言わずドアを閉じて去っていった。
「相手はまだ新入生だよ?フェリア。」
「……知らない。」
「人に優しくしないのは駄目だと思うなぁ。」
言いながらフェリアを膝から持ち上げて、自分が座っていた場所に乗せる。意地悪な人は優しくなんかしない。
水を入れながらさっきの出来事を思い出す。少ししか感じ取れなかったけど、あの感情は……少し調べようかな。
「ミノリ、紅茶が飲みたい。」
「西産か南産、どっちがいい?」
「西産ので」
「ちょっと待った!最近南産の紅茶を避けてないかい!?前も北産のだったし!」
「ミノリ君、私もおねがいします。」
「ねぇ、ちょっと聞いてる!?」
ざわざわと騒がしくなる物置部屋。やれやれと思いながら、西産の紅茶を入れ始める。
あいからわず、今日も物置部屋変わらな
「たっ、助けて下さい!」
…………………
新入生が開けたドアのおくを見ると、2人が見合っていて、片方何もしてなければ、片方魔法を展開してる?魔法は普通禁止だけど。
「ほ、本館に戻ろうとしたら、男の人が怒って魔法を撃ち初めて!助けて下さい!」
…………………
ため息1つ。何やってるのあのクズ。イラッとしながらドアの奥に向かって歩き始めた。
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