第7話 活動が終わったあとの話
「みのり君!今日も一緒に帰りましょう!」
太陽が傾き空が夕焼けになった頃。
エミリアさんが私用により物置部屋を退出したあと、ニヤニヤしながら提案してくるリア公女殿下。
嫌な顔をしている…
「いいですよ。フェリアも一緒に帰りましょう。」
「………」
「………」
「ほ、ほら、フェリア様は公女様ですから、忙しいと思いますので、二人で帰りましょう!」
「…うん。用事は無いから、一緒に帰る。
狐女は置いていこう。」
「フェリアさん!?狐女って私のことですか!ひどいですよ!」
「……関係ない。私から、ミノリを取ろうとするやつは、誰でも許さない。」
「いいじゃないですか!私だってたまには二人っきりで帰ってみたいんです!」
「そもそも僕が一人で帰るってのは――」
「許さない」
「絶対に駄目です!」
こっそりと要望を言ってみたけど……うん、
駄目みたいだ。
―――――――――――――――――――――――
ー王都、炭鉱街ー
鍛冶に関する事が多い、炭鉱街と呼ばれているこの場所には沢山の人がやってくる。
この場所は炭鉱街と呼ばれているだけあって、剣や盾を取り扱っているだけでなく、日用商品も多く取り揃えている。
食に関する事が多い食堂街にも劣らない、人の多さがここにあった。
僕はリアさんとフェリア自宅へと返した後、他の店よりも、一際小さい店の中へと入る。
他よりも一際小さくても、しっかりと作られている店内には、1人のドワーフが眠そうに欠伸をしていた。
「やる気を見せたらどうなんですか、ダンモお父さん?」
「馬鹿いうな、きゃくが居ないときぐらいは楽にさせてくれ。」
そう言いあっていると、店の奥から、一人の猫耳がついている娘が寄ってくる。僕よりも少し背が小さい。
「お兄さん!おかえりなさい。」
「ただいま、ミシャ。」
獣族の中でも、猫族であるミシャは、いつも、ここでアルバイトをしている。
ここでアルバイトを初めてから3年経っていて、もはや、看板娘と言っても過言ではないと思う。
他の方がいい仕事場はあったはずなのに……不快だと思われてないだろうか。
お金はちゃんと渡しているから、大丈夫だと思いたい。
「それにしても、お兄さん。最近、帰ってくるのが遅いですよね?何があったんですか?」
若干、心配して、少し涙目になっているミシャは、少し可愛かった。
「ここ最近は、依頼の人を家にまで送っているだけだよ。少し遅いのはそのせい。」
実際は送らなくてもいいのだが、依頼から来る希望なのだ。断りたいが、断りにくい。
「羨ましい!私も送ってもらいたいです!」
どうやら、女にとって、家まで送って貰える経験は無いため、一種の憧れらしい。僕からしたら送られるのは少し居心地が悪い。
「そんなに羨ましいのなら今度送ってあげようか?いつも定員やってくれてるお礼と思って。」
そう言いながらミシャの頭を撫でる。
「本当んですか!?是非おねがいします!」
(これでもう少し長く一緒に入られます!)
余程嬉しかったのか、顔が少し赤くなっている。
居心地悪くなり、獣族特有の耳を撫でた。
「ニャァァァ!?なんですかお兄さん!いきなりみみを撫でられてびっくりしましたよ!」
「あはは……ゴメンね。つい、触りたくなっちゃってほんとにゴメン。」
失敗した。獣族は、耳が良い代わりに、触られるのは苦手だったのをすっかり忘れてしまってた。
「い、いえ!大丈夫です!………なので、もう少しだけ触ってくれても…」
そういったミシャが、何か聞こえたのか、僕の後ろへ隠れると同時に、店のドアが音を立てて開いた。
親父も聞こえてたらしい。僕たちを見ていた顔は、2人の客へと向いていた。というか、面倒くさそうな顔をしてた。
「こんちゃ~っすミシャちゃんはいる〜?」
その姿をみた僕はこのあとの展開に頭を悩ませるのだった。
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