第5話 変化する生活
ベーカー公爵からの依頼を受けてから一週間が過ぎた。相手の反応は無い。
「それにしてもねぇ……」
そういいながら書類にサインを入れていた手を止めて、視線を奥に向けると、依頼人の娘が部屋の皆に提案していた。
「皆さん。今から心理テストの本を買ってきたのでしませんか?面白そうのがなのがたくさんあって...つい買ってしまいました。」
「...私は興味無いから、皆とやれば。」
クリスタル学院 物置部屋で。
ベーカー公爵の娘 リアが提案した心理テストを、フェリアが拒否している。リアが物置部屋に来てからある意味平常運転なので止めるような事はしない。
依頼を受けたあの日、アミラ公爵から言われた『もうあったことがある。』と言われ混乱した……僕だけ。
そりゃそうだ。ここにいる人達は皆貴族。
リアさんが貴族なのかは知らないけど、それ以外は公爵2人、伯爵1人と考えると、だいぶこの部屋が異質だ。会っていてもおかしくない。
そんな事を考えていると肩に軽い衝撃。叩いたのは――リアさん?
「ミノリ君。それ私」
この時の僕が、意識を取り戻した時には全てが決まっていたのだった。
閑話休題。
断られて少しゲンナリしているリアさんに声をかける。
「リアさん、僕は参加しますね。」
「ミノリ君!いいのですか?」
「はい。面白そうなので。」
心理テストは面白いと僕は思う。前にやった時は意外と当たっていて、盛り上がった。
「...リア、やっぱり参加するわ。」
フェリアがすぐに言葉を撤回した。何かあったのだろうか?
「エルミアさんはどうしますか?」
「私も一緒に参加しますね。」
エルミアさんにも聞いてみると参加すると。
「私も参加するぞ!ミノリ君!」
「どこから聞いてたんだこの人は」
いきなりドアが開いたかと思えば開口一番に参加を表明してきた学院長。いつから聞いてたんだろう?
「それではミノリ君!紅茶を入れてくれたまえ。盛り上がるだろうから今回は南産の紅茶に……」
「私、北産のがいいです」
「エルミア嬢!?」
「あ、私もそれがいいです!」
「待ってくれよリアお嬢様!」
「...ミノリ」
「分かりました。北産にしますね。」
「この世は残酷だ!」
学院長はうざいしある意味怖いのがこの部屋での認知になっている。でもからかうと面白い。
フェリアが学院長に魔法を並べる。
「...うるさい。早く準備して。」
「これでも僕、ここで一番偉いはずなんたけどな?おかしいな~?」
あーだのこーだのいいながら机を魔法で動かす。変な所で優しい。
学院長が整え終わった時に丁度紅茶が出来たので、魔法で浮かして机に乗せ、席にすわって。リアさんが宣言する。
「それでは!第一問――『リアさん。そういえばなんですけど』はいなんでしょう?」
タイミングが悪かった。少し反省。
「生徒会の仕事は大丈夫なのですか?依頼になってからは、毎日の様にここに来ていますよね。」
前にも話した通り、リアさんは生徒会会長。そのため生徒会での仕事も多いハズなのだが大丈夫なのだろうか?
「大丈夫ですよ、私仕事は早く終わらせるのでいつもこの時間には終わっているので。」
すべて終わらせて来たらしい。貴族の人達は皆賢いのかな?いや、違うか。あいつは違う
「それでは!改めて――『コンコン』………
どうぞ。」
……タイミングが悪い、顔が怒っている。あんなに妨害されてしまうと少し哀れだ。
入ってきた人はクラスの教師だった。
「失礼します。ここに学院長は居ませんか?仕事をほったからして逃げたのでつれもとしに来ました。」
「フェリア」
氷魔法を使い窓を封鎖、空間に逃げようとした学院長をフェリアが土魔法で捕縛。全員が冷めた顔を向けている。
「学院長、何故終わらせてから来ないのですか?こうなることは分かっていたでしょう」
「ミ、ミノリ君?フェリア嬢も見逃してくれると嬉しいのだけれど?」
汗だらけの学院長が懇願している。だけど…
「どうする?フェリア」
「...却下。」
「そんなあああああアアアアアアアアぁ」
フェリアによって落とされた学院長の断末魔を放ちながら落ちて行った。何が起きたのかわからない教師の人が固まっている
「学院長は自分の部屋へ贈っておいたのでバンバン仕事を押し付けてくださいね。」
「あ、はい失礼しました。」
そういって、教師の方は部屋を出ていった。
仕切り直して。
「……それでは!第一問――」
直後荒々しく開けられるドア。リアさんはもう耐えられそうになさそうだが、客を見て愛想よくしている。
「本当にこの場所はホコリ臭いな、何故こんなに庶民の匂いがするんだ?」
入っていきなり部屋を侮辱する非常識な人。
エルミアさんでさえいやそうな顔をしている
実際自分も苦手だが皆程じゃない。
「それで、何かこの部屋に御用ですか、ラストン王太子?」
依頼を受けて一週間。初めてにして一番めんどくさい事が起きようとしていた。
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