第四話 西の当主と生徒会
クリスタル学院の長い廊下を歩く……
フェリアを背に乗せて。
学院長はすぐに身を隠した。この後に起きる事を予測して逃げたらしい。
「エルミヤさん。今回は何言われると思いますか?僕には内容がわからないのですが。」
最後の一言を書く。――よし、完成。後輩に渡す魔力効率のコツについてのノートを空間魔法を使い、空間へと仕舞う。
隣を確認するとエルミヤさんはいつもとうりに見えるが少し緊張してる。
「私はまだ物置部屋入って1ヶ月たってないもの、分からないわ。」
「僕もさっぱりです。願わくは炎魔剣女のような性格じゃない事を祈りましょう。」
「聞いた話だと、南町最強の御方ですよね。なんでミノリ君はそんなに嫌がっているのですか?」
「一度会ってみると分かりますよ。」
自分が嫌な顔になっているのが分かる。あの方は出会って早々魔法を撃ってくるのだ。何度死にかけたか……
長い廊下を歩き終わり、生徒会入り口へ到着した僕はお嬢様を起こし、下ろしてから中へと入る。視線が多いが気にしない。
「来てくれてありがとう。ミノリ君。」
「リアさん。お邪魔してます」
生徒会へ入ると会長のリアさんが出迎えてくれた。ちゃんと気配りが出来ていて、どこかのお嬢様とは雲泥の違い――足を踏まれる、痛い。
「手紙で呼ばれたのですがどこにいらっしゃるか分かりますか?」
生徒会を見回してみるがそれらしい人はいない。見逃しているのだろうか?
「お客様は別の部屋にいらっしゃいますよ。案内しますね。」――助かります。
連れられて別の部屋へ。入ると明らかに
「我は偉いぞ?」と言わんばかりに豪華な服装。この人が――目が合う。
「君がミノリかい?」
丁寧な挨拶。違和感しかない。
「ミノリです。ベーカー公爵の」
「アミラ ベーカーだ。呼び出してすまなかった。」
丁寧な言葉なのに、言葉から滲み出る嫌な予感。内容次第によっては……どうなることやら。
「本題に入ろう。ここの学院には様々な種族がいるのだが……じつは私の娘もこの学院にいる。その子の護衛お願いしたい。」
「……………理由を聞いても?」
思わぬ依頼に立ちくらみが……いや、座っているけどね。
依頼に関してはどうしようか。内容によっては断ってしまいたい。なんせうちにはフェリアがおるからね。フェリアを盾にすればどんな内容でも断れる。(公女様だからね!)
「エトラス王太子を知っているかね。」
ベーカー公爵の顔が歪んでる。
「聞きたくはなかったですが知っていますよ本当に聞きたくはなかったですが。」
もう今すぐにでも倒れたい気分だった。またこの名前か……今度はなにをやらかした?
膝の上にいるフェリアを撫でる。
「実はエトラス王太子に言い寄られて困っている。と助けを求められてね。政略婚約があったりするが娘には自由にして欲しい、だが私は領地に戻らないといけない。何とかこちらに少しだけ泊まるように時間を作ったがこの先どうなるかわからないため、不安が残る。」
「そこで僕たちの出番と?」
「簡単に言うと友達になって欲しいのだ。頼めないだろうか?」
………筋は通っている。理由があの王太子ならば納得出来る部分が多い。理解したくと無いが……
「一つ質問があります。」
これだけはちゃんと聞いておかないと。何でもかんでも安請け合いしたらわがままお嬢様が怒ってしまう。若干今も怒っている気がする。怖い
「聞いてくれたまえ。」
「何故僕たちなのでしょう?僕はただの一般人なのですが……痛い、痛いよフェリア。」
「フェリア公女殿下にここまで気に入られているやつが一般人なわけあるまい、それに…学院長がな。」
「聞きたくはないのですが……学院長がどうかしたのですか。」
最大級の嫌な予感。何を言ったんだ...
「いやなに、この事を相談したら『ミノリと言う名前のやつに依頼としてだせば解決してくれるぞ。』と悪い顔して言っていてね。」
……僕は無言で空間魔法を展開。
あの人とこの場所を指定。穴に落とす感覚でやつを呼び出す。
「……何で君はそんな難しい魔法を簡単に扱えるのかね?ミノリ君。」
落ちてきた人が僕に質問してくるが無視。
僕は数百の魔法を並べて。
膝の上に座っている公女様も剣の先を向けている。周りに被害が及ばないように結界で彼の周りに張る。
「...何故しゃべった?…学院長。」
「いやなにフェリアお嬢。私は彼に有名になってもらわなああああぁああぁぁぁぁぁぁぁ……」
結界内で魔法の嵐が起きている。
悪は滅びた。そのバズなのに嫌な予感はまだ消えない。
「はあぁ~。ベーカー公爵。ちなみになんですけど断ったらどうするつもりだったのですか?そもそもとしてこちらに対してのメリットが少ないと思うらのですが。」
その娘と仲良く馴れたとしても他の人から妬まれるだろう。人間ハブられるのが一番嫌なのに人をハブろうとする。
「それにかんしてなんだけどね……」
「辞めるんだアミラ公爵!今そんな事言ったらどうなるかわかっ」魔法で遮断。
気にせずどうぞ。
「学院長にもその事を聞いたのだよ。そしたらある魔道具を渡されてね。」
アミラ様の手に乗っている魔道具を見た僕は学院長に放っていた魔法を初級から上級魔法に格上げする。絶叫はまだまだ大きくなりそうだ。
「失礼します。ミノリ君、フェリアさんお茶やお菓子を届け………何があったがのでしょうか?」――きにしないでいいよ
「条件は2つです。1つは毎日のように会えるわけではないのでその理解と最悪自分から物置部屋に来て貰う事。」
膝の上にいるお嬢様は無視。怒っているのは分かっているから。
「もう1つはその魔道具を渡す事です。弱みを握られたくはないので……その条件を飲むなら出来る限り力になります。」
利益が少ないと感じてしまうが仕方ない。もともと取引をしてるのが領主様なんだ、ここら辺が潮時だろう。それに容姿端麗にして文武両道な人と噂されている人なんてリアさんぐらいしか知らないため、どんな人か確認してみたいのが大きい。
「言い忘れていたのだか、受けてくれるならこの本も渡そう。内容は魔力譲渡に関しての本と範囲魔法についてだ」
「引き受けましょう!それで、その方はどちらにいらっしゃるのでしょうか。」
態度を180度変える。本には逆らえない。
ベーカー公爵が不思議そうにしている。何か
変な事を言っただろうか?
「ミノリ君、きみは、私の娘を知らないのかね?私はもう知っていると思っていたよ。よく私に君の話をしてくるからね。」
どうやら僕は知らず知らずの内にもう話していたらしい。
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