第1話 有名な噂
クリスタル学院には様々な噂が流れている。
曰く、ある場所では闇の実験が行われているだとか。また、ある場所では学院内では精霊がいて、力を貰った人は、最強になるとか。
所詮噂は噂なので、ほとんどの人は気にせず毎日を過ごしてるがある日、あらたな噂がたった。
噂の内容は『お悩み相談箱』
曰く、どうしても解決できない。誰にも言えない。そんなお悩みを手紙にしてある場所に入れると解決してくれるらしい。
そのお悩みが冗談でいれたり、悪い事のために利用しようとしても叶わないとか、また解決してくれる内容に偏りがあるとか。様々な話があるらしいが割愛をしよう。
最初は誰もが半信半疑だった噂は、段々と浸透して行った。
それは何故か。ある日夢がかなったという人が現れたからである。人は気になる内容程、口にしてしまう物だから。広がるのは時間の問題だった。
こうして『お悩み相談箱』はクリスタル学院の噂となったのだ。
「...部長って呼ばないで。紅茶いれて」
クリスタル学院、『物置部屋』
もともとそこまで広くない部屋には大きな
テーブルの周りにあるソファー。
奥には少し豪華な、いわゆる部長が座りそうな椅子があるがその上にはたくさんの書類。
彼女の身長も相まって書類の山は壁のようにも見える。
「お疲れ様、ミノリ君」
僕はわがままお嬢様用の紅茶を入れる途中に方向を変えて
「お疲れ様です、エルミヤさん。」
そう彼女に返した。
エルミヤ、パール。パール伯爵家の末妹として生まれて、学院内で『パール伯爵家の美女』と呼ばれている。
彼女はおっとりとしていて基本的に誰にでも優しく、そして頭が良い。どこの部活に入ってもやっていけるのにしないのはきっと――後ろから飛んできた氷を消しながら振り返る。
「いきなり氷を撃たないで下さいよ。当たったら痛いじゃないですか。」
見えていないはずなのに、的確な魔法は最早流石としか言えない。初級魔法のはずなのに氷の塊を軽々撃ってくるのは魔力の多さ故だろう。
「...今、失礼なこと考えてた。」
「考えていませんよ。そんなこと思っていたら切られるじゃないですか。」
「...考えていたんだ。」
...ばれてしまった。前はこれでそらすことが出来たのに――彼女が手招き。仕方がない。
作って置いた紅茶を持って部長の席へ。書類をどかして紅茶を置いて一言
「怒らないでよ。」
「...怒らない。失礼なこと考えてなければ」
「そればっかりは無理だし、結界を出しとこう」
「...意地悪。」
「ハイハイ失礼しますよー」
そういって僕は彼女の体を持ち上げる。
服はでかいせいで手が袖から出ていない。
僕が間違えて送った物なのに何度も使っている……解せぬ。
「相変わらず軽いね?ちゃんとご飯はちゃんと食べているかい?」
「...誰かが作ってくれないから」
「……あのねぇ、そもそもとして住んでる場所が違うでしょう?殿下。」
直後、飛んできた炎を消して体の向きを変えて座った後に膝の上へ。
頭を撫でながら櫛を取り出し髪の毛を整える
....僕は髪の毛は長い方が言いと思う、櫛を通すやりがいがあると思う、…個人の見解だが。
「.....ミノリ、殿下って言わないで。」
「普通はタメ口は駄目なんですよ?
『幻剣』様?」
「それも言わないで!……頭撫でて」
「仰せのままに、お嬢様。」
....普通知らない男の人に撫でられて嬉しいのだろうか?
撫でられて嬉しそうな顔をしてる彼女を見て思わずには言われなかった。
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