第36話 帝国と皇帝

伯爵会談から1週間が経ち、帝都は落ち着いた。

あれから学年主任と、ミヤモト先生が消えたことにより、事態は収束した。


学園は再開されたが午前だけになり昼からは帝都復旧の手伝いになった。


凶報がもたらされたのは休み前の週末であった。


学年主任の所属する派閥が反乱を起こした。


ハシバ元公爵の反乱と伝えられた、学年主任はハシバ公爵であり取りつぶしが決まった矢先であった。


ハシバ領は他国の境界にあり、他国の支援を受けての反乱のようだ。


協力しているのは宗教色の強い国家であった。

十五年前クーデターで教団が国家を乗っ取った形だ。


『教祖の前では皆平等』をうたい文句にしているが、実情は独裁圧制の、鎖国国であった、軍事国家であり、旗を見れば一目両全である、鷹に剣で×字、名前を聞いて納得した、ナチ教国、早めに知っていれば危機感ぐらいは持てた。


転移者か、転生者ならば、危機感は高く持てた。


ナチ教国に間違いなく、転移者か転生者がいる。


すべてが15年前に繋がった、帝国の教団事件は失敗したが、他国では成功していたのだ、そう憶測できる。


直ぐにしずくさんを呼んでもらい、オダ邸で会談となった。


タケダ、アシヤを招待、私たちのチームもオダ邸に向かった。


馬車がオダ邸に着くと、ひときわ綺麗な馬車が目についた。


火の鳥のようなものが描かれている、何処の馬車だろう?


オダ邸の警護が見たこともない騎士が居る。


中に入り応接間に行くと、歴戦の勇者のような男の人が居た。


「始めまして、アスカ、イエナガと申します、君が忍君だね」


アスカと言うことは皇帝の血族のようだ。


「よろしくお願いします、紙谷 忍です」


なぜか皆は一歩下がっていた、かなり偉い人のようだ。

しずくさんも入ってきた。


「立ち話もなんだし、皆座って」


皆席についたが、しずくさん意外は緊張しているようだ。


「早速話を聞こう、タケダ、アシヤの者は、少し遅れるそうだから」


今までの経緯を、ユカリが一通り話して、新しい情報の話になる、そこでバトンタッチ。


「俺の知ってる故郷の話になりますが、多分予想が正しければ、カルト教団だと思われます、かなり危ない可能性があります」


「このメンバーには、かん口令を敷くので、転移者として話してかまわんよ」


「承知しました、俺の世界だと、二回の大戦があったんですが、その時の強国が似たような旗印と、名前を使っていました、多分今回の協力国、教祖が転移者か転生者だと思います」


皆は俺が転移者と聞いて、少し驚いていた、そういやオダ家意外は、知らなかったな。


「かなり危険そうか?」


「多分向こうの技術の再現で、なんらかの兵器が、再現されていると思います、15年前の帝国の教団事件にも、関係があるかもしれません」


「ほう、こちらでもその辺は予想したが、中々頭が回るな、これを見て判るか」


冊子を渡された、絵入りの冊子で近代の銃と、戦車が描かれていた。


「銃の武器と、戦車ですね、航空機のイラストは無いようですが」


「敵方の武器だな、数台だが戦車も完成しているようだ、航空機だったかそちらは無いようだ、諜報部が調べた情報だ」


銃は薬きょう式、長いタイプの2連銃、戦車はキャタピラ式の様だ。


「こちらも銃は再現できた、試作を終え今量産中だ、戦車は動力がもう少しだな」


「戦車がもし出てきたら、狙うなら足回りですね、装甲は狙ってもムダですので」


「覚えておこう、銃は防弾の検証中だ」


帝国も長年調べていたようだ、百年前の大戦以降の転移者が、この国にはいなかった分、調査に力を入れてたらしい。


暫く対策の談義をしていたが、皆、唖然として聞いていた。


そこへアシヤ、タケダ両人が応接室に到着した、一旦談義は中断となった。


「お久しぶりです、皇帝陛下」


タケダ伯爵が話し、両爵が片膝をつき礼をする。

「よい、公式ではないので、堅苦しいのは好まん」


皇帝陛下その人だったようだ。


「忍の様に、気さくに話してかまわん、タケダは元先生だし、アシヤ、オダは同期だしなw」


なるほど、人間関係が見えた一幕であった


これまでの話し合いを、簡単に説明して全員交えての話となる。


「やはりそうか、坊主は、転移者じゃないかと思ってた」


伯爵には、予想がついていた様だ。


「でだ、現状量産済みの銃は、伯爵以上に均等に配分する、向こうに比べると少ないが、魔法師団も応援で向かわせるから、いくらか対策は出来るだろう」


「陛下ありがとう御座います、早速防具の強化、戦車対策は検討してみましょう」


「それと忍、本来学生は参加させないんだが、君は陛下お付の参謀として、私について貰う、護衛として娘を付ける、心配するな死なせはしない」


「了解です、行きたくはないですが、皆の平和がかかってますんで」


本来高位爵位の者は、跡取りでもあるため、戦場に出せないのだが、知識は俺以外のものは微妙なので、断れなかったのが現状だった。


何人かは親の背中を見せるため戦場に来るようだ。


「何人か付いて来たい者だけで、他の学生は帝都で待機とする」


「ワシも息子次第ですが、多分来るでしょう、義理堅い奴だからな」

伯爵は息子が参加を確信している様だ。


こうして3日後に開戦と決まった。


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再開、週2-3話で更新、まあ、未だPCいまいちですが、涼しい時に何とか更新、ふた開けて何とか維持、来月にはグラボも交換かな?




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