第32話 学園とタケダ

対応をまかせ、ギルドを退去。


明日からの学業に備え、寮へと送ってもらった。


翌日朝、皆で食堂で話をしていた。


「昨日は大変やったな、なんか最近きな臭いしな、学園も」


「ボクもそれは思う、授業が本分だから、余り首はつっこめ無いけどね」


「そういえば回避、よう出来てたやん、練習の成果出てよかったやん」

コノエの言葉に照れてしまった。


「普段は、胸ばっかり見とる、あかん男や思うてたけど、さすが男の子やな」


一言、お小言混じってたが、やっと訓練が報われた感じであった。


簡単な反省会で、お開きとなり教室へ。


授業は滞りなく進み、体育の授業となった、あれからアシヤは来てない感じだ。


珍しい人物から、声がかかる。


「よう、大分頑張ってんな、俺と練習、組まねぇか」


タケダからの誘いであった、特に嫌味な感じが、しないので組んだ。


「貴様早いな、回避だけなら、俺は、まだまだだな、あのコノエが、鍛えてるだけはある」


どうやら俺達の練習も、見ていたようだ、前よりかタケダも動きが良い。

周囲を見回してから、人が少ないタイミングで、タケダが話し出す。


「後で貴様らに話がある、気になることがあって、貴様らにも聞きたいんだ」


どうやら、何かの相談したいようだ、こちらのメンバーに。

コノエにボコボコに、されてから、大人しいとは思っていたが、協力を頼まれるとは思わなかった。


「話だけならいいぞ、内容によっては、協力もするぞ、ただ他のメンバーは確認してからになるが、それでいいか」


「ああ、それでいい、俺らガキの出る幕じゃないんだが、気になる事があってな」


なぜか言葉を濁していた。


「じゃあ授業が終ってから、夕食時に返事をするよ」


「それでいい、急ぎたい事情があってな、夕方だと助かる」


根は悪いやつでは、なさそうだ、大分トゲが取れた感じであった、上からのしゃべり方は相変らずだが。


授業が終りユカリに話す。

「後でタケダが、話があるようなんだが、どうする、嫌な感じは無かったぞ」


「そう、内容は判らないのね」


「内容は判らなかったが、余り周囲には、知られたくない様だったな」


「聞くだけなら、良いと思うわよ、なんか落ち着いた感じが、私も見て取れたから」


他のメンバーも賛成との事で、夕食時に食堂へ。


タケダと2人の、取り巻きも来ていた。


「大丈夫だぞ、話を聞ける」


「助かる、会議室を借りてる、そこで話そう、食事後で良いぞ」


どうやら、他人に聞かれたくないようだ、了承して、食事を終らせた。

相変らず食事は、高級エリアのようだ。


食事も終り、9人で会議室へ入る。


「まあ座ってくれ、以前は済まなかった」

いきなり謝罪から始まった、どういう心境の変化だろう。


「えらい丸うなったな、なんかあったんか?」

コノエとユカリも驚いていた。


「どういう心境の変化が、あったのかは、教えてくれるわよね」


「寮での一件の後、オヤジにどやされてな、コノエもオダも、何処と揉めたか、わかってんのかて、勘当寸前の話にまで行ったんだ、それで、むやみに平民と思うなって、ボコボコにされた」


事情が見えてきた。

「アサイも揉めた事がバレて、暫くは爵位を名乗るなと、厳重注意があったんだ」


家の格式の問題のようだ。


「実は担任と、アシヤのことで、不振があってな」


なぜか、歯切れの悪い話から始まった、話を促す。


「最近、担任の様子がおかしいんだ、アシヤが病気療養と、ミヤモトは話してるが、アシヤの子爵家の、連絡に違和感があるんだ、我が家は伯爵家で、うちの寄り子なんだよ、アシヤは、だから噂を流した」


どうやら失踪の噂は、タケダが流したようだ。


「あいつはプライドは高いが、より親に直接、連絡しないような、ヤツじゃねぇ、何かあったんだろう、オダやコノエなら、何か掴んでるかもと、思ってな」


どうやら、こちらと同じように、調べているようだ。

「こちらも、ミズキに調べて貰ってるわ、もう暫くしたら、報告が来るはずよ」


「あの憲兵のミズキか、なら情報は確かだな、こちらにも教えてくれ」


「そう言うことなら、問題ないわよ、わかった事は教えて上げる」


「アシヤは名家なんだが、帝都に屋敷が無くてな、連絡は来てるんだが、アシヤ家の者じゃねぇんだよ、オヤジもそこに不振を抱いてる、オダの家にも、協力要請が行くはずだ、オヤジも調査に乗り出してる、だが時間がかかる」


気に入らない奴だったが、何かに巻き込まれたか?。


「ミズキの報告次第ね、情報は共有させてもらうし、お母さんにも言っておくわ」


「助かる、何でも良いから頼むわ、俺か居ない時は、ヤギかキシに話してくれ」

2人もうなずく、背の高い方がヤギのようだ。


こうして、タケダと和解し、協力関係を築く事になった。


会議室から出て、解散となった。


何か大きな事件に発展しそうな、嫌な予感が、ぬぐいきれなかった。


数日して、ミズキさんが寮に来る、再度会議室を借り、話をする事に。


学園も急に休校になった。


会議室にはミズキさんと、俺達とタケダ達が居た。


「アシヤの領から帝都に、私兵が動いてるの、1日の距離だから明日には到着予定」


アシヤ子爵の兵が帝都に来るらしい、何があったんだろう。

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