第11話 帝都と屋敷と日本料理
大きな城門が近づいてくると馬車の行列がすごい。
馬車は行列の横を進んでいく。何台か並んでいる脇の門へと向かう。
予想は付いているが聞いてみた、予想どうり特権で入れるとのことであった。
理由があるようで、早馬や敵の襲撃を防ぐためだそうだ。
貴族は狙われる。市民を巻き込まない配慮らしい。
後ろから豪奢な馬車が来た、金ぴかである。
こちらは一度木にぶつかったのもありボロい、色々塗装がはげている。
市民の馬車に比べると全木造で、塗装もされてるので上等な方だ。
平民の馬車は幌を立てたものが多い。
竜の爪の馬車も貴族門からに、護衛扱いだ。
門のところで刺客を引き渡す。
「じゃあなオダ家の方々、又依頼あれば言ってくれや」
「ありがとう御座います」
ユカリさんを筆頭に、挨拶をして別れた。
商業地区が門の近くらしい。続いて工業地区武器などの表示の看板がある。
奥の商業地区は、看板も色彩豊かだ見てると少し建物が綺麗だ。
次に進むと少し高級そうな家が多かった。
馬車が少し大きめの家に入っていった。
門の入り口には、軽装の騎士が居る。馬車を見ると、門が開けられ中に。
立派な洋館が建っていた、三階建ての迎賓館のような建物だ。
入り口で馬車は止まった。
執事服のオールバックの、おじさんが出てきた。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「ただいま、ヤガミ、お客様も居るから部屋を準備して」
「かしこまりました、そちらの学生服を着た方ですね、ミツバ様より、伺っております」
メイドに目配せをする、返事をして屋敷の奥に入っていった。
シキモリさんは、馬車を置きに行った。
執事の先導で私もついていった、床には大理石に、じゅうたんが敷かれている。
一階の奥に案内された、少し豪華な扉がある、開かれると応接室であった。
「暫くこちらで、おくつろぎください」
直ぐにメイドが入室して、飲み物とお菓子の準備を始めた。
ヤガミさんや、他のメイドさんも、雰囲気が日本人に似ていた。
ただ人により、髪の色や目の色が、少し違う。
「こちらにどうぞ」
ソファーに着席を促された。かなり美人のメイドだ、身長はユカリさんに近く、髪は後でヘアピンで束ねて上げている、髪と目の色が緑が入っている。
観察していると、猫に狙われたハムスターのような感覚が頭をよぎった。
着席を促され、休憩することにした。
「部屋を俺のために用意してもらって、いいんですかね」
「いいわよ、準備しているし、おじ様が保護するなら、お客さんだしね」
「若い男ですよ」
「大丈夫よメイドも何人か居るし、ヤガミもいる、それに…」
返事の途中で、扉が開く音がした。
「帰ってきましたか、お帰りなさい」
扉を開けて入ってきたのは、美人なお姉さんであった、ユカリさんに抱きついた。
ユカリさんに、顔立ちが似ている、ミズキさんと同じぐらいの身長で、髪と目の色が赤、お姉さんだろうか?
「私はユカリの母で、しずくよ、この屋敷の家長です、よろしくね」
「はい、忍です、よろしくお願いします」
返事はしたが、抱きついたままで、きりっとした顔で話されても。
苦笑だけしか出なかった、てか母親いくつなんだろう、考えたとたん、オオカミから狙われたような感覚で、背筋が冷えた。
シズクさんの顔は、笑ってるが、目がなんか怖い、これは夢に出そうな感じだ。
「受験の間は、こちらにとまりなさい、試験が終われば寮があるしね」
しずくさんからも提案された。
「暫くの間、お世話になります」
お金に余裕があるわけでもないし、受験の詳しいことも分からない。
神様がくれた服が、学生服というのも気になる、学園に入れとの神託だろう。
この屋敷は、女性が多いと実感した、ピンク色の未来を想像したが、とたんにユカリさんが、汚物を見るような、表情を浮かべた。
考え、先読みするの、勘弁して欲しいですね。
受験に必要なものと、試験範囲、場所が説明された。
「迷い人だと、剣の修行も初心者だし、ヤガミに、簡単な剣の基礎を教えるよう、計らうわ、貴族は家庭教師か家臣から、一般学生は幼年学校か、教会で教わるのよ、君にはうちで教えるわ」
受験まで一週間、あと六日だそうで、辺境伯が受験、申し込みしてくれたようだ。
今度会えたら、お礼を言わねば、ならないだろう。
受験に際しての、注意事項が、しずくさんから話される。
「忍君の場合、特例に近いから、貴族の子供から多少、風当たりがきついわよ」
「基本皇族、上級、下級貴族、平民は学園では、同等に扱う決まりだけど、最近はいい噂を聞かないからね、学園長は、いい人なんだけどね、何かあれば、私に連絡して頂戴」
少し悩みながら話した、不穏な雰囲気を感じ取った。
「はい、困りごとがあれば、相談させていただきます」
出たとこ勝負だと思った、しかも付け焼刃で、数日修行のようだ。
神様と転移の事も、話す事に。
鉄の船や、鉄の馬車は、一般的なこと、通信、テレビ、の事などを話した。
「世界が発展している様ですね、馬がない馬車や、鉄の船は、市民用には無いですからね、テレビや電話は、こちらでは魔道通信があるわね」
魔法が発達しているのが、科学の発展のストッパーの様だ。
ミズキさんが、応接室に入ってきた。
「客間の用意が、出来たようですよ、忍君疲れてるところ悪いけど、まずは荷物を部屋へ置きに、行きましょう」
「じゃあ、これで簡単な、お茶会は終了ね」
「暫く、お世話になります」
ミズキさんが、二階に案内、先導してくれた。
「ここよ、あなたのお部屋よ」
扉の先は、質素な部屋ではあるが、所々が上品な調度品で飾られていた。
「隣同士よろしくね、奥が私の部屋ね、私は住み込みだからね、もう長いのよ」
これだけの大きさの、お屋敷だろうから、当然住み込みか、しずくさんは何者?。
「ミズキさん、しずくさんは家長て言ってましたが、役職でも有るんですか」
「あちゃ、しずくさんから聞いてない」
「いきなり扉が開いたとたんに、ユカリさんに飛びついて、事情説明のあと、今の状態です」
「ごめん、多分こちらが説明してると、思われたのね、しずくさんは、オダ家の党首よ、元老院の議員よ」
すごい肩書きが出てきた、なんか戦国時代を、イメージしてしまった。
「諸侯の領主だったんだけど、今は伯爵相当、オダ伯爵といわれる事もあるわ、領地は返上してるから、政務官だけなの」
日本で言う、過去は姫様てやつか。
天下のご意見番の、おじさんと、天下布武の覇者の血族か、そういうイメージだ。
誰かが階段を、上がってくる
「おう、忍、お疲れ様、俺はここまでだ、また困ったときは、冒険者ギルドか、ミズキさんに話してくれ、会えるようにしておく」
わざわざ挨拶のため、シキモリさんが二階にきた。
「何かあれば、相談させてもらいます」
挨拶が済むと、背中越しで、手を振りながら、階段を降りていった。
「屋敷の中で、困ったことが、あればヤガミさんか、メイドの誰かに聞いたらいいわ、暫くあなたには、専属でメイドが付くから」
「おお、メイド専属、わくわくしてきた、元気出てきた」
ミズキさんが、完全に呆れていた。
「メイドはつくけど、無理なお願いは、しちゃだめよ。荷物を置いたら下に降りましょう」
いきなり釘をさされた、そんなに下品な顔なのだろうか。
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