第5話 街とギルドカード

暫く馬車に揺られてると、馬車酔いである。

寝かしてもらうことに。


暫くすると起こされた。壁が見えてきた5メートルぐらいだろうか。

街か関所だろう聞いてみた。


「ミズキさん、あの壁はなんですか?」


「ああ、あの壁は侵略者避けよ、小さい町だとあの規模の壁は珍しいかもね」

言葉に少し引っかかりを覚えた。


「侵略者ですか」気になり聞いてみると、答えてくれた。



「人と魔物、両方に対応する防護壁よ、田舎だと魔物避けだけだから、あまり大きくは無いけど、交通の要所は大きい壁が作られてるのよ」


ユカリさんも話す。

「百年前に作られた防壁よ、もっとも、戦場になることはないわよ」


壁の直ぐそばまで来た、軍服を着た人が警備している。

腰には帯剣、帯刀している人が居るのようだ。武器の種類は二種類らしい。


前の順番の人が、衛兵と受け答えして、お金のような物を渡していた。


「次の人、目的は」こちらの番になり、ミズキさんもお金のようなものを出す。


そのあとカードを出し、話す。

「帝都までの道程で、寄りました」


カード見た衛兵が、目を見開いたが直ぐに普通の表情になった。


衛兵が俺と、ユカリさんの服を見て話す。

「学生の一行ですね、それと後に縛ってる、ボロボロの男たちは盗賊ですか?」

衛兵は少しひきつった表情で話した。


ミズキさんは答える。

「はい、盗賊のようなんです、厳密に処罰お願いします」


「わかりました、盗賊捕縛の、賞金が出ると思いますが、ギルドカードに振り込みましょうか」

ミズキさんがうなずく。衛兵が、盗賊を荷台から引き剥がす。


カードを受け取ってパネルに当てたあと返され、街に馬車が動き出した。

「ミズキさんが出してたの、今のお金ですか、カードも渡してたようですけど」


少し考えながら話す。

「ああ、入街税よ、お金持ったこと無いの?カードはギルドカードよ」


やばい身分を証明するものもなければ、ギルドカードすらない、どうしよう。


冷や汗が出て、どぎまぎしてしまった。

「実はギルドカードや、お金は持ったことが無くて」苦しい言い訳をした。


思案したような顔になる。

「ギルドカード作りましょうか、冒険者ギルドか、商業ギルドで作れるわ」


「何か証明書が必要でしょうか、俺持ってないんですよ」

おずおずと正直に話してみた。


「ギルドカードを作るのには、お金がかかるだけ、魔石でも君が持っているので支払えるし、換金貯金も出来るわよ。どうする」


「じゃあギルドカード作る方向で」


「君の魔石の換金もあるし、お金の詳細を教えましょうか?」

ミズキさんが優しげに聞いてくる。


「お願いします」即答だった。ユカリが苦笑していたのですこしはずかしかった。


「銭貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨 白金貨意外どの貨幣も10枚ごとに上の貨幣に交換可能。商業用貨幣の白金貨だけは金貨百枚で交換」

「各ギルドが銀行ギルドと提携していて窓口、わかったかしら?」私はうなずく。


「じゃあどこで登録しようか、商業でも冒険者でもいいんだけど、近いから商業にしときましょうか、ギルドカードは共通だからね」

ミズキさんが決めてしまった。冒険者ギルド見てみたかった。


そのまま馬車は商業ギルドに向かった。



街並は木造だが2階建てが多く、明治大正の東京を思わせるような街並みであった。

唯一違うとすれば電線と自動車がなく、変わりに馬車が走っていることだ。


道路は石畳のようだが、レンガを使っている所もあり、お洒落な雰囲気だった。

街にある、山の手の方には大きな館がある。


服装も洋服を着ている人が多い。明治大正時代にタイムスリップしたかのようだが。

武器を持っている人を、街で見かける。


冒険者なのか金属鎧、皮鎧の人も居るので改めて異世界だと実感する。

街には重装備の統一装備の人もおり巡回しているようだ、騎士かな?


街の入り口で見かけた、軽装の軍人と半々のようだ。


商業ギルドに付くと、大理石作りの洋館風の建物だった。


門が開いており、馬車を置く場所があり、そちらで止まった。


ギルド内に入ると中は豪華であった、シャンデリがある。


カウンターがあり受付嬢が居るようだ、カウンターに行く。

「いらっしゃいませ、本日はギルドカードの製作ですか、商談ですか」


聞かれて戸惑っていると、ミズキさんからフォロー。

「ギルドカードの新規発行でお願い、魔石の買取もね、忍君こっちに」


「ではこちらの紙に記載を、魔石はトレーの方に、カード発行手数料が銀貨2枚かかります、よろしいですか」

はい、と返事をして魔石を全部トレーに出した。

受付嬢さんは何か四角い箱に魔石を入れにいった。数分して戻ってきた。


言われて気がついたが、内心焦っていた、文字読めるんだろうか。

紙を見てみると普通に日本語として読めた。


読み書きもひらがな、カタカナ、漢字のつもりで書けるようだ、慣れが必要だ。

無事に書けそうなので、俺が書きますと返事して、名前、性別、年齢を書いた。


「こちらの板に、手をあててください」受付嬢がパネルを取り出した。


手を当て終わるとパネルが光り、暫くすると消えた。

「これにより登録終了となります、ご入金はされますか」


「今回の魔石の買取は、金貨30枚となります、登録手数料を頂き、残り金貨29枚 銀貨8枚、になります」


「ギルドカードをなくされないように気をつけてください。

他人には使用できません。再発行に金貨2枚必要になります。

各種ギルド登録にも共通しています。

身分証明書にもなりますので、無くさないように、ご注意を。

買取金は現金で渡しますか、それともカードに入れておきましょうか?」

順番に説明してくれた。



ギルドカードはクリスタルに近いが硬いようだ。素材は何だろう。


少し考え現金は金貨9枚銀貨8枚で20枚はカードにお願いした。


コノ世界でのはじめてのお金である。


お金をもらい直ぐに、ミズキさんに話す。

「いままで立て替えてもらった分、支払います」


「うーん盗賊の賞金が入るし、清算がややこしいから、暫くはいいわ、忍君も宿屋で話を聞かないとね、訳が有りそうだしね」


ミズキさんは微笑みながら話した。事情を話せと言われてるな。

逃がしてはくれないようだ、渋々了承した。



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