第6話 街と店と宿

話が一段落した所で買い物と宿屋へ。


「何か必要なものはあるかな。というより旅道具で足りないものは買わないと」


「忍君、詳細は宿に行ってから聞くけど、持ち物が旅用じゃないみたいだしね」


「持ち物は足りてないようだから、必要なものを揃えましょう。まずは商店からね」みずきさんが確認を取ってくる。


「着替えも欲しいですし、他にも足りないものがあるので、お願いします」


内心少し焦った、宿屋に着くまでに現状までの経緯と言い訳を考えないといけないし、どこで何を買えばいいかも、さっぱり分からないからだ。


街としては大きいらしく、馬車での移動となった。


暫く賑やかな道をすすむと、二階建ての横に広い店の、馬車置き場で前で止まった。


全員降りると男の人が来た、木札をシキモリさんが受け取り、皆で商店の中に入る。


気になったので、シキモリさんに聞いてみた。

「その札はなんですか」


「ああ、札は中で買い物したものを、馬車に届けてくれるものだよ」


店の大きさは街のスーパー並みである。


商店の中に入ると女性の店員さんが来た。

「いらっしゃいませ、本日はどのような商品が、ご入用でしょうか」


「日用品、食料、衣服だったかな」シキモリさんが俺に聞いてくる。


うなずいて答えた。


「ではご案内いたします」なれた感じで買い物のサポートに付いてくれる。

ここはかなりの高級な店なのかと、少し心配になった。


「心配しなくても大丈夫よ、ここは知り合いの、系列店で買いやすいわよ。

品質は保証されてるわ、そんなに高い店じゃないわよ」

ユカリさんが私の表情を見て、安心させるように話してくれた。


派遣で仕事が多かったので、それなりに、ポーカーフェイスが出来ると思ってたんだが。どうやら年齢に引っ張られて、表情に出てしまったようだ。


一人称も、本来は私が多いのだが、俺と話してしまうことも度々ある。

精神的に年齢に引っ張られている、かもしれない。


女性の店員さんが案内で、まずは二階に案内してくれた。


服が棚に折りたたまれて置いてある。

触ってみたが木綿が主流で、服のデザインは、現在の洋服に近いのもある。

切実なのは下着なので、コーナーに案内してもらう。


トランクスがあるようなので、それを手に取った。


服もスポーツシャツと、ハーフパンツを全部三枚ずつ。

店員が木札を確認、商品を預かり、奥に持っていく。

清算用の札を貰う。


どれも一枚1万Gもしているので、男性用肌着としては高い。

ただ背に腹は変えられないので購入。


次に一階へ日用品は同じく棚にあるが歯ブラシ、歯磨き粉、シャンプー。

コップ、石鹸、タオル三枚、どれも数千Gだ。


今のように、大量生産は出来ていない印象だった。


同じく食品も揃えてくれるらしい、道中食べたいものを買うといいとの話だった。


簡単な干し肉と、パンこちらは少し黒いし、神様に貰ったパンよりか少し硬そうだ。

パン一斤や干し肉、ジャムなどの保存食は意外に安い、銅貨3枚からだそうだ。


お菓子のようなものが、あるらしいので、そちらへ。

言ったとたんユカリの目が、輝いた。


「お菓子は被らないように買うわよ、あなたも選びなさいこちらで出すわ」

選んでるユカリは獲物を、見定めたトラが見えるような気がする。


金平糖のような、お菓子と、せんべい、饅頭。試食があり、試してみたがうまい。


清算はカードか現金でとのことなので、ギルドカードで。


お菓子と食料品はみずきさんが、ギルドカードで、支払いをしてくれた。


買い物を終えると馬車乗り場へ、そこで商品が渡される仕組みだ。



一路宿屋へ向かった。宿屋はペンションに近いだろうか、隣に食堂がある様だ。


中に入ると、強面の頭ツルツルの、おっさんが返事をする。

「いらっしゃい何名さまですか、お部屋は何部屋で」



シキモリさんが、少し間をおいて答える

「二部屋四人で、話をききたいしそれでいいよね」

まあ、言葉に甘えようと思いうなずく。


「じゃあ一部屋の中で仕切りがある、パーティ用の部屋がある。

二階の一番奥の部屋だ、支払いは一泊一人銀貨1枚銅貨5枚だ全部で銀貨6枚だな」


「いいんですか同室で、俺だけ別部屋でも、ミズキさんユカリさんも居るのに」


「いいわよ同室でも、中はパーティ用に区切られてるから、同室のほうが、都合がいいでしょう」

ミズキさんの話に、戸惑いながらうなずいた、そのあと宿屋の親父が話す。


「食事と風呂はどうする、銅貨5枚で食えるが、風呂は一階のおくにあるからな」


「ああ、食事も頼む」シキモリさんが返事をした。


「食堂は隣で食える、この札をもっていきな」

親父さんからシキモリさんが札を受け取った。


宿屋の隣に扉があり、そこを開けてはいると、食堂のようだ。

三十代ぐらいの少し熟した感じのおば いやおねーさんがいる。


急に寒気がしたので考えを気をつける、どうして女性は敏感なのだろう。


「あいてる所に座ってね」にっこり笑ってるが、少し寒気がする。


シキモリさんが札を渡すと、少し黒いパンと、ミートソースパスタが出てきた。味も見た目そのままだった。


パゲットとサラダとベーコンが添えられていた。

パンは一度火を入れたようで、外はパリッとして中は柔らかかった。


食事が終わり部屋へと移動する。


部屋に入るとしっかり壁で区切られて、奥に部屋があり扉で仕切られていた。

ここまでガッチリ仕切らんでも良いと思う。少し残念ではある。


「じゃあシキモリと忍は手前の部屋、私達は奥ね。さて、あなたの話と事情は、お風呂あがってから聞きましょうか」


みずきは意味深に微笑みながら話す。考えていたことだが、ピンチである。




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