第7話 街と転移者

簡単な四人がけのテーブルがあるので全員でそこに座り話すことに。


テーブルには人数分の紅茶、飲み物とお菓子が置かれた。

お菓子は、試食した饅頭のようなお菓子だ。

あんこが入っていて色は黄色、甘い桃の香りがする。


紅茶フルーツのような飲み物だ。

味はさっぱりしていて紅茶に酸味の強いりんごを大量に入れたような味だ。


みずきさんが話しだした。

「まずは、おわびとお礼を、街道でのことはありがとう。想定していたとはいえ襲撃があると、想定外のことがあるのよね、お家事情による襲撃だったのよ。巻き込んだ、これについては、お詫びね」


一息ついて紅茶を飲む。

「大丈夫と確信していたけれど、助っ人は助かったわ。何か希望と質問はある?」


いきなりお礼と、お詫びと言われても、悩んでしまう。


「特に無いですが、俺こそ馬車に乗せてもらいましたし、宿もとまれましたから問題は無いです」


「まあ、出来ることはしてあげるわ」


紅茶フルーツを飲んで一息ついたところでシキモリさんが話し出す。

「改めて紹介だな、俺は冒険者をやっているシキモリ、ユカリちゃんの護衛だ。」


「ミズキさんは、ユカリちゃんの家庭教師兼、姉のようなもんだな、でユカリちゃんが、今年受験の護衛対象てなわけだ」


「それでだ、忍、率直に聞くぞ、最初は受験生だと思ったが、君は何処の何者だ。返事はしっかりしてる、年齢の割にはよく判断が付く、ただ、戦いは素人」

シキモリさんは、途中から俺を見据えてきた。



真実を話すか、嘘をつくかで悩んでいた、だが真実を正直に話しても、信じてもらえるのだろうか、この世界の詳細を知らないので、嘘はバレル可能性が高い。


ある程度ごまかしながら、話す事にした。

「俺は自宅の部屋に居たんだけど、魔法陣に血が落ちて、光ったら神様の所に、簡単な事情を聞いて、少し助けてもらって、あの街道に居たんです」


「服と刀、荷物はその神様に貰いました」


「ギルドカードを見せてもらえるかな」

ギルドカードを確認。


「加護が付いてるな、なるほどね」

加護がどうかしたんだろうか。


カードを見てみた。

能力を開く


氏名 カミヤ シノブ

年齢 十五歳

所属 なし

種族 人間

賞罰 なし


加護 女神へべ、クロノス神


「信じられない話だが、加護もあるし、うそは言ってるとは思えんな、迷い人か、ここ百年は無かったと聞いていたが、ちなみに加護は隠せるぞ、横の三角の表示だ」

シキモリさんは困惑したような、安心したような複雑な表情を見せる。


押してみると隠すか選択肢が出る。かくすとカッコが出るようだ。


「加護と迷い人てなんですか、過去にはよくあったと、言うような口ぶりですが」

気になったので聞いてみた。


「迷い人て、言われちゃ居るが、過去に遠い他国か、はたまた別の世界から来た、と言う人が居たんだよ、神様の加護だよ普通は中々無いんだ、転移者には必ず付く」


神様の加護なのか、シキモリさんの返事に驚いた。


「転移者、迷い人はすべからくこの国の人より大きな知識と、技術を持っていた。

それで発展したのが現在だ。戦いも生んだそれが百年前の大戦だ。現在は停戦条約が結ばれ安定しているがな、今も二大大国がにらみあってる」


 話を聞いてさらに驚いたこの世界でも、大きな戦争のようなものがあったらしい。


「俺はどうなるんでしょう」気になり聞いてみた。



みずきさんが話し出した。

「迷い人の扱いは現在、百年前の条約でどこの国でも、保護して生活と人権は保障されるわ、一代華族、貴族、待遇ね。この国では学費は無料。忍君の場合、転移者認定されれば、学校は強制入学になるかな。華族、貴族は帝国学園を、卒業する義務があるわよ」


いきなり貴族扱いになるのか。


「クラス分けの為に試験も、受けるのよ。試験は帝都でだから、時間はあまりないわ。この国の事も、受験範囲も知らないでしょう。読み書きはギルドで書いてたから、出来るみたいだけど?」


読み書きと数字は分かるようだが社会や華族、貴族、他の項目なんてさっぱりだ。

、何があるか分からないし。


「おしえてあげよっか、私なら教えれるよ」

ユカリさんがニコニコしながら話す。


「教えてくださいユカリさん」即返事をしたので少し、ユカリさんは戸惑っていた。


そこにみずきさんが助け舟を出した。

「1年、2年は共通学習3年で専門の勉強、3年の選択学科よ」


魔法もやっぱりあるらしい。基本前の世界の高校と大学にをあわせたものだな。

進学したことは無いが、過去の知識から引き出してそう思った。


「試験は、文字の読み書き。計算は四則演算つまり、足し算、引き算、掛け算、割り算、基本はこの二種類後は点数加算があって、魔法、剣技、特殊能力てとこかな」


特殊能力?気になったので聞いてみた。

「特殊能力てなんですか、魔法、剣技はなんとなくわかるんですが」


「ああ、特殊能力はスキルと呼ばれていて、先天的又は努力で身につくものよ、たとえば先天的なのが種族特性の一族、森なら精霊能力、闇なら闇能力、土なら錬金能力、光なら浄化能力、風は強化能力、それらの能力のことよ」


また知らないワードが出てきた一族てなんだろう

「種族特性の一族て何ですか」


「ああ、知らなかったのね他種族のことよ、それらの総称よ。ただアスカ帝国は他種族はほとんど居ないの、居住地域が安全な所では近くにないからね」


そんなものがあるんだと改めて異世界と思い知った。


「明日領主様の所で話をしましょう。登録手続きをして保護を、申告する必要があったはずよ。この街の一番大きな建物が領主の館よ、承認されれば、どの国でも華族、貴族扱いになるわよ。所属国は保護した国にになるからアスカ帝国所属になるかな」



次々と明日の予定が決まってしまった。それに今居る国名はアスカ帝国らしい。


街に入った時に見えていた、三階建ての大きな館が領主の館と役所を兼ねているらしい、この街ではどうやら領主の館が最大のようだ。




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