故郷で猫探しを手伝うお話

@michibata

新緑と風と大地と...

吹き抜ける風が新緑の香りを運んでくる。


どこか、初々しくも儚げな心情に覆われる。


土手に座り込むと、小岩や草花の感覚が


体全体で感じられ不意にも故郷を思い出す。


金色に焼けた空、夕食と線香の混薫りのざった匂い。


大きな御神木のある古ぼけた神社。


言葉に足りない程に日々は過ぎ去って行った。


物想いに耽っている頃には重い腰は上がっていた。




~翌日~




大地を洗い流す吹き抜ける風に身を任せ、帰郷の路を遡る。


10年と長い歳月を示している長き道程は、窓から覗かせた


青と緑とが物語っていた。


暫くして、


村近くのバス停へと着くと心地のよい空気に抱擁される。


気づけば幾年を越えた夢の途中の帰路へと向いていた。

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