辛い時期

 辛い時期が誰にでも来ます。あなたは無神論者でしょうか。無神論者は頼ることなく、ただ己の知性や法に従って生きるしかありません。神、その唯一の存在は私たちに慰安をもたらします。信じてみましょう。私は仏教徒ですが、神もまたいると信じています。

 自殺しておけばよかった、そんなこと思う必要はありません。いずれ死ぬのですから。ヴァレリーが言ったように、自殺は家にいるネズミを殺すために家を燃やすようなものです。そのネズミを追い払えばいい。

 信仰とは尊いものだと信じています。しかし、同時に危ういものだと感じております。究極、自分が善であればいいのです。子供に知恵を授けるのは徳だと思っています。子供はあなたの分身なのですから。

 みな赤子だと思えば、殺人もする気になれないのは私だけでしょうか。死刑は悪だと感じております。生きている間に、罪を実感しないまま、死ぬのはなんという不幸でしょう。魂が流れ出ていくのはなんという恐怖でしょう。仏教でいえば、私たちの中には如来の知恵があります。キリスト教で言えば、私たちの魂は神が分け与えたものですから、それを穢してはならない。ただ、穢さずにはいられないのが、また人間かもしれません。

 文学に救いを求めるのもいいですね。しかし、文学とはまた狂気かもしれません。文学は酒にもなるし、毒にもなる。宗教の教えとはまた尊いものなので、最初受け入れがたいかもしれません。宗教があれば戦争が起こる。いいえ、宗教を理由に戦争をしているだけです。どっちみち人間は戦争をしたがるものです。

 生きるとは戦うことに近いかもしれません。虫が氾濫したら、やはり、殺さないと人類は生きていけません。人類が増えすぎたから、人類は殺しあうかもしれません。人間の理性を使い、人間は保存しなければなりません。

 神を信じるか否か、信じたほうが得だと感じます。神を信じても損害を被ることがないのですから。


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聖書を思いつづる書 原氷 @ryouyin

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