第20章…好き


まるでそこらへんにいるカップルと変わらない

それくらい俺らは幸せな時間を過ごしている

3時くらいになったらプールを出た

お祭りもやってるからそっちに行きたいらしい

結衣の気まぐれな性格に振り回されてるようだけどそれが好きだったりする

着替えるところと乾かせるところがある

そこで色々と済ませる


そして結衣とまたお祭りを周る

今度は手繋ぐとか腕組むとかはなかったけど

いっぱい食べて話して

時間が経つのが早かった

やっぱり結衣といると楽しい

気づいたら夜の8時


「そらー!輪投げやりたいー!」


「またやるの?」


「いいじゃんかよー!

何回でも面白いんだからさー!」


そんな会話をしていると


ヒュ〜〜〜〜〜〜


バァァン!!


音がする方を見てみる


「わあーー!花火始まってんじゃん!」


「ええー!!早く行かなきゃ!」


もっと至近距離で見れるところを探す


「あ、そこ!」


結衣が見つけた場所は

凄く狭いレンガだった

1人分座れるくらい


「2人じゃ座れなくね?」


「座れるよー」


結衣は俺をレンガに座らせる

そして俺の膝の上に結衣が座った


「こういうことー!」


「あぁそういうこと」


俺はまた結衣との距離が近くなりドキドキする


俺は結衣の腰回りに腕を回す

ずっとこのまま花火を見ていた

30分ほどの花火だったけど


「すごーーい!!めっちゃきれいー!」


「ほんとだな」


俺はドキドキして花火どころじゃない

ここで俺も腹をくくる

不安な気持ちをいっぱいにさせて

結衣への思いを伝えよう


「俺ら、なんか付き合ってるみたいだな」


そう言うと結衣はこちらの方へ顔を向けた


「なんで?」


な、なんでって……

ちょっとためらいながらも俺は続ける


「だって、こんなことしながら花火見るのって恋人同士じゃないと出来ないわけじゃん?」


「うん出来ないよね」


「その……だから」


俺は緊張しながらも伝えた


「付き合おうか」


俺は言った、結衣に気持ちを…


「やだよ」


………え??


結衣が言う


「なんで付き合うの?」


「いや、だってこんなこと恋人同士じゃないと出来ないから」


「じゃあなんでこんなことしてんの?」


………なんだよ


ダメなのかよ……


俺は思わず黙ってしまう


「あたし、空の欲求を満たしてるわけじゃないからね?」


それはつまり


結衣の言いたいことがやっと理解できた


俺の“素直な気持ち”


いつも素直に言ってくれる結衣だったから

また結衣から言ってくれるのを待っていたのかもしれない

それじゃダメだ

もっと俺は強くならなきゃダメだった

だから俺は結衣に素直な気持ちを伝えた


「結衣が好きだから付き合いたい」


結衣は首ではなく体をこちらに向けて

そのまま俺を抱きしめた


「うん、あたしも大好き」


少し声が震えてるような気がした

けど結衣が答えてくれたから

俺も結衣を抱きしめる


「ありがと」


また結衣は俺の肩にあごを乗せていた


「結衣?」


「………」


結衣は鼻をすする音を立てた

……泣いてんのか?

俺はまた離そうとすると

嫌がるようにしがみついた


「なんで泣いてんの?」


「だって……やっと好きって言ってくれたんだもん……」


俺はまた弱い結衣を見てしまった

こんな姿を見せられたら

俺は結衣を守りたい

そう思えるほど結衣は大事な存在になっているんだ

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