第15章…真実

15



◎空side◎


ピロロロン!!ピロロロン!!

俺はケータイのアラームで起きる

今日はなんだか朝から体が軽い

スッと起きれた俺はすぐに顔を洗い歯を磨く

歯を磨いてる間

ぼーーっと昨日のことを思い返していた


昨日だけで色々ありすぎて疲れたなー

千尋に振られて怒られて

結衣と学校サボって結衣に告白されて

結衣を傷つけて謝って仲直りする

あんなに人から助けられたのは初めてだった

体が軽いのも昨日結衣が俺にしてくれたことが気持ちを楽にしてくれているものだと思う


しかし昨日、千尋に振られたこと、怒らせてしまったことを思い出すと鉛のように心を重くさせる

はあーー学校でなんて声掛けたらいいんだよ…

こんなことになる必要のない究極を言うようだけど

翔のやつ、どこ行ったんだよ……


学校に着く

教室に入るとまだ千尋の姿は見えていない

すぐに謝りたかった

なんて言ったらいいかわかんないけど

でもごめんという気持ちだけでも伝えて

また仲良くやりたい


俺は言葉を考えるために席に着き顔を伏せた

今日はやっぱ調子いいためか頭の回転が速そうだ

言葉たちは頭の中からスーッと抜けていき

頭は空っぽになりそのまま夢の中に行ってしまった


あーここは夢の中

ただの現実逃避

夢の中なんだから何したってありだろうよ

ん?どれどれ?誰の手だろう


にぎにぎ


あ、これは千尋だな??

うん、多分そうだ


次はなんだ?


パサパサ


きったね!誰の髪の毛だよ!


ワックスついてるのか?少しベタッとしている


「おい!せっかく巻いてんだから触んなよ!」


この声は結衣か?

昨日はありがと


どれどれ


次はなんだ?


なでなで


ん?このおでこの丸さとサラサラな前髪な感じは、千尋の頭だな!?多分そうだ


次来い次


パフっ


ん?


パフっパフっ


なんだこの柔らかい感触は

もっとじっくり触ってみよう


パチンッ!!!


「いでーー!!!」


「どこ触ってんだよ!」


頭に思い切り衝撃が走る


目の前には結衣が居た


「は!?夢の中でしょ?ここは」


「寝ぼけてんじゃねー!

お前寝てるフリしてあたしの胸触ったろ!」


「え!?あれって夢の中のものじゃなかったのか!?」


結衣は「キモいんだよカス!」と言いながら

俺の横に来る


ん?また何かされるのか!?

と思って居たが


「千尋ーーあたしもうお嫁に行けない」


横を見てみると千尋が居た


「んがー!ち、千尋!?」


「なに?そのお化けを見たような反応は」


え、じゃああの夢の中の手と頭は

本物だったってことか?


「お前謝ること知らないのかよ!」


また結衣は俺の頭を叩く


「いてーな!夢の中に居たんだからしょうがねーだろ!」


「しょうがねーじゃねーよ!

はーーい!!この人痴漢デーース!!」


俺の手首をガシッと掴み上に上げる


「やってません!」


「触った!」


「もー!どっちでもいいから!」


千尋が間に入って止めてくれた

まったく相変わらず結衣はうるせーんだからよ


「じゃあ空は今日なしな」


結衣が俺の肩を叩き意地悪そうな顔で言う


「なにが?」


俺はあえて千尋の方を見た

昨日の件もあって少し結衣の顔を見るのが恥ずかしくなっている


「終わったらスイパラ行くからね」


「………俺も?」


女子会に参加することになってしまった


放課後


スイパラに行く


「絶対場違いだろ俺」


女2人に男1人

むしろあたりは女の子しかいなかった


「空甘いの好きでしょ?」


千尋がにやけた顔で俺に言う


「好きだけどスイパラに行くのとは違う!」


なんだよ本当に甘い匂いしかしねーじゃん!

パスタとかカレーみたいなのとサラダもあるけど

本当にこれで90分いるのか???


「空っていう女の子いるかもしれないじゃん?」


「もはや意味がわかんねーよ」


結衣にツッコミを入れるのもめんどくさくなって来る

とりあえず座ってみる


「じゃあ私チョイスで取ってくるから待ってて」


と千尋がお皿を取り結衣と一緒に席を離れる

もうなんでもいいよ


千尋が持ってきたのは

チョコケーキとモンブランイチゴタルトとカルボナーラだった


「うん、うまそう」


俺も普通に甘いのが好きだからなーー

これは食えそう!と言いつつ食べてみたものの


「あぁぁー!無理だもう食えねー」


甘すぎる!

食っても食っても味が甘いままだ


「食べれないの?

じゃあ私がもらう」


千尋にあげた

なんで女の子はこんなに甘いのを食べれるんだろうと不思議に思った

俺はもうドリンクとパスタしか食わなかった


しばらくして1時間くらいで2人も飽きてしまったようだ

まあ甘いやつをひたすら食うのはさすがに無理だな

2人もアイスをひたすら食べていた

アイスなら甘くてもいけるらしい



そして


「私ね、2人には言ってなかったんだけど」


千尋が話を切り出す

どこか真剣な表情


「翔がいなくなった理由がさ

翔の家の借金を返済するためらしいんだよね

それで、ちょっと危ない人たちと関わってるらしくて

それで私たちの前に現れなくなったのかな?って翔のお母さんが言ってた」


……そうなのか

翔が居なくなった理由を聞いた


「え、マジかそんな理由だったんだ」


結衣も目を大きくさせ驚いている

あいつがそんな大変な目にあってるなんて思わなかった

でもよかった

千尋を完全に捨てたわけでもなさそうだ


その話を聞いて本当に安心した


「じゃあ翔は子供が出来たから逃げたんじゃないんだ!」


結衣は容赦なく千尋に言う

おい、心のストッパー働け


「違うよ、絶対に違う」


千尋は大きく首を横に振った


「うん、絶対にあいつは投げ出すようなやつじゃないからな」


俺が千尋に言うと

千尋は満面の笑顔になる


「そう、だから信じるしかないんだよ

広島に行ってからもずっと待つよ」


千尋は一度決めたら絶対に曲げないやつだ

だからこそ俺の出番はもうないってわけだ


……そうなるよな

いや、そうじゃないと千尋に迷惑がかかる


「なんだよーー空ー!まーた嫉妬かー!?

千尋はもうお前には用無しなんだよー!」


グサグサグサッ!


結衣の心のストッパーが働かないせいで

俺の心の傷がさらにえぐれた


「結衣、頼むから黙ってくれ」


結衣を全力で飛び蹴りをしようと思ったがそうはいかなかった

あぁなんだかイライラしてきた


「え、マジで落ち込んでる?」


結衣は優しく俺の頭に手を置いた

俺はその手を力強く払い


「おめーのせいだろ!」


と言いながら結衣を睨む


「なんでそんなに痛くすんの!」


「お前が悪いだろって言ってんだろ!」


「だって本当のことなんだからしょうがないじゃん!」


「もっとオブラートに包むとかねーのかよ!

たまにスッキリするけど今のは優しくするとこだろ!」


「優しくされて当たり前みたいに思ってんじゃねーよばーか!ばーか!」


「あぁー!?いまなんつった!?」


「小心者だめ男」


「マジでいい加減にしろ!」




「うるさーーい!!」


千尋がついにキレた


「イチャイチャするんだったら外でしてよ!店内なんだから他の人に迷惑かかるでしょ?」


「「イチャイチャしてねーわ!!」」


俺と結衣で被せて言う


「仲良しじゃん」


呆れた顔で千尋は言う

ふざけんなよまったく!


そんなこんなで翔の事実を知った

そんなことだろうと思っていたがさすが翔だなって改めて思った


でも家族を優先したのはいいけど

千尋だって家族になる人なんじゃないか?

その千尋を置いていってどうすんだよ

とは思ったけど俺が知ったような口をはさむわけにはいかない

だから俺は自分の立場を再認識して翔を信じてみるしかなかった

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