第12話 アリス視点 独りぼっちの夢の中で

アリス視点です。今後のネタバレも含みますが心情を理解してもらうため。

間に挟む形になりますが先に投稿します。

嫌な方は申し訳ありませんが、プラウザバックか次回の話の更新までお待ち下さい。

また、19話20話辺りとの話とも繋がりますので、内容を忘れた、プラウザバックされた方はもう一度お読み下さい。


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愛されたいという要求は、自惚れの最たるものである。復讐と恋愛においては、女は男よりも野蛮であるとはいつか読んだニーチェの言葉だっただろうか。

たしかに私の今日の行動はとても時惚れであるだろうし、私の行動は野蛮そのものだろう。

でも……そうする他に私には選択肢が無かった。

放課後の出来事を思い出しながら、私は次に行動すべきことを確認しながら、1人しかいない広い家でおやすみなさいと虚空に呟き眠りについた。それが姉がひとり暮らしのために家を出ていった2年前から日課になっていた。



その日私は夢を見た。



3年前の冬……後1ヶ月で誕生日を迎える。12歳の自分だろうか‥‥忘れもしないあの日のためすぐにわかった、まだ幼い私は黒い礼服を着ている。


私の全てが震えてる、でも寒さからじゃない何か親しみのあるもの手に届くけど、決して留められない夢のようなもの。

それはあなたのせいでそこに感じられるの。

自分の手を握り俯く。

先日の冷たい手の感触が未だに残っている。

私はずっと要塞のようになって

冷たい秘密を奥深くに隠してた、あなたにもあるのは知っているのになんで隠すの?

私は知る準備ができているのに……

私の人生はずっとつらい思いをしてきた

でも私は何かの理由でここに来たの

それが私が生まれてきた理由なの?

私はずっと他の人と違ってた

普通のルールが当てはまらなかった

今日がその日なの?

あなたが導いてくれるの?

あなたが誰かを知りたい。

夢の中の私はどこかへひたすら歩く。途中風景が変わり、一面白くぼやけた部屋の中にいる。

一冊のノート、彼が隣で眠っている病室で、肩身離さずつねに持っていた、今も抱きしめるように握られていた『未来について』と書かれたノートを彼を起こさないように気を配りながら手に取る。


そんなことをしなくても彼は、今鎮静をかけられていて起きるはずはないけれど。


起きていたらきっと痛みで叫びつづけている。


彼に抱きしめられていたノートを見ながら思う、このノートのように、抱きしめられたことは私の記憶にはない、それどころかあなたはいてくれなかった、いてくれたことなんてなかった。


あなたは私じゃなくておねぇちゃんの全てほしがったけどそれはフェアじゃないわ。


今手にしたノートを捲り、未来についてと表紙に書かれたノートの全てを時間が許す限り読んだ、何度も何度も。


最後に全ページを、事前にアプリでシャッター音を消す仕様にしたスマホで撮影し元にあった彼の手の中に場所に戻す。


彼は寝ているはずなのに、それを確認すると安心したように表情が柔らかくなった。


今……手にしていたノートは、マジックが滲んでいる箇所が数カ所あった、彼は何度も読み返して泣いたのだろう、気持ちはわかる、だって私は彼と同じように泣いたから。

そして、その出来ごとが私をここに連れてきた。


隣で寝ている彼に聞こえないほどの声量で呟く。


「あぁ、やっぱり私はあなたに人生を捧げたの、全てを捧げたの」


呟くと同時に自分の中で全てが繋がっていた。


 そのせいか頬からは先日のことですでに枯れ果てたと思っていた涙が溢れて止まらなかった。


袖で、拭こうとするが追いつかずに視界がぼやける。


「でも……あなたはいてくれなかった、それで私はダメになった。」



「ねぇ‥‥本当の悪者はどっち?」



「ダーリン……。」



1人虚空に向けて枯れた声で呟きアリスは泣いていた。


それはまるで助けを求める子どものように、誰も助けになど来ない独りぼっちの夢の中で泣き続けた。

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