10 幼女の一日
◇ミランダ視点◇
「今日からしばらく会えなくなるんだ、お父さんやお母さんが見付かったら教えに戻って来るからね」
お兄ちゃんにそう言われたより前の事をミラは何も覚えてないの……
これは誰にも言っていないミラだけの内緒の事。
パパやママに会いたいって気持ちはあるけど、どんな人達なのかミラは知らない。
いつも一緒に居てくれるお兄ちゃんとお姉ちゃんだけがミラにとっての全てなの。
ミラは悪い人たちからお兄ちゃんとお姉ちゃんに助けてもらったんだけど、その事は全然覚えてないの。
孤児院にはミラと同じくらいの子供も何人か居たけど、その子たちは何だかミラとは違う感じで、ひとりになんだって思ったのね。
街を出ていくってお兄ちゃんから聞いた時、ひとりが恐くて一緒に行くってお願いしたの。
お兄ちゃんとお姉ちゃんがパパとママになってくれたら良いのにな……
「おはよう」
朝起きると笑顔のお姉ちゃんがベッドの脇でミラに挨拶をしてくれる。
いつもはツヨシお兄ちゃんと一緒に居るんだけど、昨日の夜はお姉ちゃんと一緒だったの。
可愛くてお友達になった
「お姉ちゃん、
「それじゃ朝ごはんを食べたら
そういってお姉ちゃんはミラの事を抱っこしてベッドからおろしてくれた。
ベッドの上でお腹見せている
「師匠、ミラちゃん、おはよう」
お部屋を出て階段のを降りると、いくつか置かれている机のひとつに先に起きていたツヨシお兄ちゃんが居る。
お兄ちゃんはミラたちに気付くと、笑って朝の挨拶をしてくれる。
「お兄ちゃんおはよう」
ミラも朝の挨拶をして、お兄ちゃんの隣に座る。
「ツヨシ君は今日も闘技場だよね?」
「そうですね、色々試してみようと思ってます」
お兄ちゃんは強くなる為に闘技場って場所に行くみたい。
「お兄ちゃんは何でミラたちと一緒に来ないの?」
昨日も同じことを聞いたかもだけど、
分からないなら聞けば良いよね。
「ごめんね、僕はミラちゃん達とは違う方法で頑張るつもりなんだ。だからしばらくは一緒に行けないかな」
「居なくなったりしない?」
ミラは探しているパパやママの顔を知らない。
きっとひとりになっちゃったらミラはどうしたら良いか分からない。
お兄ちゃんやお姉ちゃんが居なくなってしまうのが恐い。
だから何回でも聞いてしまう。
「居なくなったりなんてしないよ」
ツヨシお兄ちゃんは笑っいながらミラの頭を撫でてくれる。
お兄ちゃんが撫でてくれると何だかおムネの辺りがポカポカするから好き。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
朝ごはんにお姉ちゃんの特別なハンバーグを食べてツヨシお兄ちゃんとバイバイした後、ミラはお姉ちゃんと一緒にご飯を作る場所に来た。
今は
「
そういって
お友達になった
ミラが言った事をちゃんと分かっているみたいだし、お腹が空けばミラにご飯のお願いもしてくる。
瓶を両手で抱えて一生懸命に飲む姿は凄く可愛い。
「それじゃ
お姉ちゃんはそう言って、
毎日少しづつ色々な物を作りながらご飯を作るのを上手になって行くんだって、お姉ちゃんは言ってた。
いつかお姉ちゃんみたいに美味しいものを一杯作れるようになると良いな。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
「
最初はその見た目が恐くて身体が動かなくなってしまったけど、
「ミランダ、アンタは大切な友達を失いたいのかい?」
お姉ちゃんはいつもの暖かくなるような声じゃなくて、キュウって自分が小さくなってしまうそうな声で聞いて来た。
「
「ミラが戦いを怖がって何もしなければ、アスプロスはお姫様を守る為に倒れる事になるよ」
「そんなの嫌……」
「なら、怖がっても良いけど、どんな相手でも戦いを放棄しちゃ駄目だ。アスプロスはミラを守ろうとしてくれるけど、そのアスプロスを守れるのはミラだけなんだよ」
お姉ちゃんはそう言っていつも使っている弓を肩にかける。
いつもなら
でもさっきのクモと会った時は怖くなって何も出来ないまま
お姉ちゃんは魔法を使えない。
だからシュパシュパってしてクモを倒してくれた。
「……うん、
「なら訓練の続きをしようね」
お姉ちゃんはキュウってなるような声からいつもの暖かいのに戻ってそう言ってくれた。
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