第5話 美大生のブースへ歩み寄る
性格上、何事も後回しにすると忘れがちな私は、目の届く距離に絵を描くお姉さんが居ることで興味が続いた。
自分が出店していたフリーマーケットブースの片付けを早々に終えて、両親とは別行動になった。
この話を書き進める為に冒頭で強く存在を示し登場した、〝憧れのお姉さん〟のブースに歩み寄った。
心が弾む理由は、フリーマーケットとと言う不思議な空間の中に画家が出店をしている。構図が想像できなかったからであろうか...店じまいをして、初仕事の無事に安堵したからだろうか?
私にはわからなかった。
そして、ゆったりとした小春日和が道行く人々を撫でるように温和な空気に癒されながら、〝憧れのお姉さん〟のブースを覗いた。
私の気配に気付いているのか気づいていないのか、数時間前と変わらず五本の指でしっかりと握られた色とりどりのペンはデッサン紙に向けて動かされていた。
ブース前に足をとめ、静かに待ち焦がれていたポストカードサイズの絵画を漸く観れたのだ。
思わず「うわぁ〜可愛い〜綺麗〜」と好望の声を漏らした。
そのような私に無反応なお姉さんは、目の前に自分が描いた絵を観る人々が、まるで居ないかのように手を動かしている。
自らの絵に興味を持っている人に目を配る様子もない。
私は、その姿に少し浮かれた心が落ち着き、膨らんだ気持ちは小さくなった。並んでいる絵は、私が今迄に観たことのないパステルカラーで描き出された優しく柔らかく愛らしいものばかり...。
描く君の心の絵 静香 @seinowa
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