「真斗、女子?」
「で? 俺なわけ?」
「そう」
「だからって学校前で待ち伏せんなよ…」
「センパイに長瀬クン借りますって言ったら学校名教えてくれたから!」
「学校帰りにくるなよ…、変な意味で目立ってっから…。頭まで空っぽかよ」
ちょっと長瀬クンが悪口を言ったのは聞かなかった事にして…。私たちはとりあえず話ができる場所に移動する事にした。
なんだかんだ言い、長瀬クンもそんなに私に敵意を向けているわけではなくなってきている。かなりいい傾向だ。このまま私の事を認めて“お義姉さん”と呼んでくれたらいいのだが。
フードコートの一角。以前も来た事のあるその場所で私たちはまたファーストフード店でLLサイズのポテトとお互いの飲み物を購入の予定だったがハンバーガーがふたつ追加されてしまった(代金はもちろん相談者の私)。
ひとり一個かと思いきや2つとも長瀬クンが食べるのだそう。
「そんなに食べて太っても知らないよ…」
「部活あっから平気〜」
そういえば長瀬クンは部活に所属していたんだった。何部なのだろうか。しかし今はそんな事はどうでもいい。
「で? 相談って?」
「真斗って覚えてる?」
「オレンジジュースの?」
「それで覚えてるのもなんだか変だけど…。そう、その真斗」
私はジュース(今度はアイスティー)を飲みながら話を続ける。
「その真斗が最近また不安定なの」
「その言い方だとちょっと前までは不安定じゃなかったみたいな言い方だな」
「その通りなんだよ。ちょっと前までは不安定じゃなかったの。でも…」
「…………」
長瀬クンは私の事をじっと見つめながらハンバーガーを食べる。これで2つ目だ。
「悪いけど俺そんなに真斗と連絡とってねぇから」
「最近だと連絡したの?」
「……………昨日」
してんじゃねぇか!!! と言いたくなったのをグッ、と堪える。
「き、昨日…? なんてきたの?」
「……お前が、なんか…素っ気ないって…」
「素っ気ない…? “酷い”とか、“最低”の間違いじゃなくて?」
昨日の私はお世辞にも“素っ気ない”で片付けられるような態度ではなかったはずだ。それなのに“素っ気ない”といったという事は少なくとも真斗の中であれは“素っ気ない”部類だったという事だ。
「他には?」
「お前と兄ちゃんを別れさせたいって」
「………ちなみにそれに対して長瀬クンはなんて答えたの?」
「“どうしたんだよ”って」
そう言うと長瀬クンは携帯をいじってその画面を見せてくれた。確かに“どうしたんだよ”と返信してある。
……にしても真斗のメッセージがなんだか面倒な女子のメッセージのようにポンポン送られている…。
……………あ、れ…?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます