第8話 精神は無敗、体は初黒星

寝かしつけたセレスに金属杖で回復魔法を掛ける。


それを見ていたエミリアは、

「それ!回復魔法じゃん、ユウナちゃんいつの間に覚えたの?」


「魔力の出し入れが、できた時点で簡単だった。それに今は魔力を纏っているからこの回復魔法を増幅する杖で纏っていた魔力をセレスちゃんの回復に当てている。」


「私がその体だった時はそんなことしてなかったよ?」

 エミリアは首を傾げていた。


「エミリアちゃんは自分の力を知らなかっただけだよ。私も四天王のバカと、この体で戦わなければ気づかなかったと思う。」


「魔封じの杖を触媒にして人体に魔力を出し入れする機能を飛躍的に向上させる。魔力を力に変換して体術で戦ったり、魔封じの杖にわざと魔力を与えて杖の威力を何倍も高めるとか使い方は様々だよ。」


「あたしにはなんの事だか分かんないな~。」

 白魔導師にエミリアは向いて無かったんだね。


「今のセレスちゃんとの戦いはポニテ侑名の力が分かっていたから、それを少し上回る力を魔力から変換して使っていただけだよ。」


「魔力が無い侑名には勝ち目のない戦いだった。私は魔力というズルをして勝っただけ。」


エミリアが私に、

「あたし、セレスに体を返そうと思うの。」


「その方がいい。セレスは侑名の肉体、体術と杖だけじゃ最強になれない。」


「体を返せるの?」


「私の魔力とこれを使えば可能だよ。」

 私は大魔導師のバカが持っていた杖を取り出した。


「ただ、私とエミリアちゃんは戻せない。術者がいなくなるから。」

 私はエミリアに元に戻れない事を伝えると、


「いいよ。あたしは今からユウナちゃんになるよ。」

 彼女は笑顔で答えてくれた。


「分かったよ。じゃあいくよ。」

 そう言うと私は魔力を杖に与えて術を発動した。


この術は一瞬で発動する。


「ワタクシはいったい…。体が元に戻っている。」

 セレスは元の肉体に戻っていた。


「もう一回修行のし直しだね。セレス。」私がこう言うと、


「はい!ユウナ様。ご迷惑おかけしました。」深々と頭を下げたので、


「やっぱりお堅いセレスには戦士が似合っているよ。」

 私とセレスは笑っていた。


その横で、

「痛いよ~。ユウナちゃん、自分の体に強い攻撃しすぎだよ~。」

 エミリアは侑名の体をボコボコにした私に文句を言っていた。


「ちょっと待っててね。」

 私は縛り付けている、大魔導師から魔力を奪うと、

それを侑名の肉体回復に変換して与えた。


「おっ。元気になったよ~。ユウナちゃん。」

 さっきまで、痛いと言っていたのに、ぴんぴんしている。


まだ余っているな。よし!

「セレス。一番弱いモンスターを一匹生け捕りにしてきて。」


「ユウナ様。どうなさるのですか?」


「う~ん。拷問?」私が言うと、


「私も行ってくるね。ユウナパワーを見せ付けてやるんだ!」

(侑名の体の性能を確かめたいのかな…。)


「エミリア様。ちょっと。」セレスがエミリアに話すと、

 ナイフで神官のローブを膝上のワンピースみたいにしてしまった。

そのあとはぶかぶかな部分を切り取った切れ端でウエストを帯のようなリボンにして絞める事で足技を出しやすい服装にしてしまった。


「ユウナ様の体は足の俊敏さが売りです。そのままでは満足に動けません。だから丈を短くする事で動きやすくなります。」


(私に負けた理由の一つが服装であったことに気付いたんだな。)


「ありがとう~。セレス~。お姉ちゃんみたい。」かなり気に入ったようだ。


「ふふっ。服も買い替えですかね。町に戻った時に調達しましょう。」

 やはりセレスは自分の体でいる方がいいだろう。らしさがある。

 二人は獲物を探しにいった。


さて、私は、

「起きて、大魔導師さま!起きないとさらに痛い目に遭わせちゃうぞ?」


自称四天王の大魔導師さんは目が覚めた。

「私は縛り付けてさらすような事をされても何も話さないぞ!」


「勇者さまはどちらにいるか、分かりますか?」


「いや。あんな腰抜け…どこに消えたのか検討も付かないな?」

 知っていそうだが、あくまでしらを切るらしい。


「私の~お友だちが、帰ってくる前に話した方が身のためだよ?」


「娼婦みたいな体付きの白魔導師ごときに落ちる私ではない!」

(娼婦って、巨乳で金髪、エロすぎJKボディの今の私の事かな?)


(確かに今の私はエロゲーか、アダルト映像でしかお目に掛かれない絶世のわがままボディだからな。)


「ユウナ様。王国を裏切った兵士を捕らえました。」

 セレスが若い男性を捕まえていた。


「この子、何したの?セレスお姉ちゃん。」

(知らない間にエミリアとセレスの仲で姉妹の契りが結ばれている。)


「こやつは裏切りを起こし、勇者様を魔王軍に売ったのだ。」

 正義感の塊、セレスは怒り狂っている。


私は色っぽい声で、

「じゃあ、処分はそこの大魔導師様と魂を入れ替えましょう。」


「ふん!私の秘術でも魔族と人間の魂を入れ替えるのは不可能だ!」

(魂の構造が違うのか、だから私たち三人しか、入れ替えられなかったんだ。この三流の魔導師は。)


「いや?できるよ?私なら。フフフフッ。楽しい拷問の始まりだね。」


 エロの塊、新生侑名さまにその場にいた全員が恐怖で立ち尽くした。

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