第6話 白魔導師の体は軽いハンデ
槍の主で戦うセレスと私の体のセレスは無双状態だった。次々と敵をなぎ倒していった。
そして白魔導師エミリアの体の私は、自称四天王と対峙していた。
「私を白魔導師ごときが倒す?フハハハ、笑わせてくれる。私も魔導師だが、最強の杖使いで魔術師だぞ!魔法すら使えない貧弱な人間が勝てるわけないだろう?」
「やってみなよ。最強の私にはちょうど良いハンデだから…。それに武闘派の二人では無く、私じゃないとお前に勝てない。」
「減らず口がいつまで続くかな?火炎魔法で灰にしてやる!」
奴が魔法を詠唱し始めた。すぐに炎の玉が複数飛んできた。
「詠唱も早いだろう?威力も高いぞ!死ねー!」
私は金属の杖と事前に交換していた魔封じの杖で火の玉をすべて受け流した。
「なぜだ!なぜ、一発も当たらない!」奴は驚いていた。
「この世界の人とモンスターは武器に頼りすぎなんだ。攻撃力が高いとか強い追加効果がある武器を選択しやすい。」
「だから、この安い魔封じの杖の利便性に気付かない。これは相手の魔力を封じ込めるだけでは無い。」
「そんな安物の杖で、なぜ!私の強力魔法が防げるのだ!」
奴は起きている事象を理解できていない。
「貴様のようなザコ四天王には、一生、かけても理解は出来まい。」
「もういい!氷の刃で串刺しにして可愛がってやる!」
次に奴は氷のつぶてをたくさん作り出して一斉に私に向けて放った。
「この数とこのスピード!運動能力が低い、お前にはすべて受け流す事は不可能だ!終わりだ!」
凄まじい氷の刃の攻撃が私に向かって降り注ぐ。数秒間の攻撃が終わり、私の周りは氷のオブジェとなった。
「果てたか。口ほどにもないな。」奴は勝利宣言を上げようとした時に、
「終わりですか~。エミリア、四天王さんにがっかりしてしまいましたぁ。」
私はエミリアの声で甘い言葉を話した。
氷の中から無傷の私が出てきた。そのあと奴にこう話した。
「お前はどちらにしても負ける運命だ。もし、私をセレスの体に入れ替えたら、お前は剣で首を跳ねられて秒殺されていた。この場合は元に戻れないが、私はセレスの体が好きだからな。剣術を使えるし、様々な武器を駆使して魔王を殺せる。」
「エミリアの体の私なら、勝てると踏んだお前は勘違いしている。この子の魔力は凄いんだ。さっき瞬時にセレスを超回復させていたからな。」
「私よりこの杖の効果を最大限に発揮できる。それに…。動く度に大きな胸が揺れて気持ちいい…。この気持ち良さは元の私では味わえない。」
「感謝しているよぉ~。四天王さまぁ~。」
「………。貴様は!変態だな!」
(四天王さん。会話まで私のペースになってるよ。しっかりしなよ。)
「どうしますかぁ~。降参する?」私は一応、聞いてみた。
「貴様みたいな、変態に負けたとなれば魔王様に申し訳がたたぬ!わが最大の魔法を受けて朽ちていくがいい!」
(え~。まだやるの?)
「どんな魔法なの~。教えて~、最強の大魔導師さまぁ~。」
「余裕なのも今のうちだ!貴様は石化して動けなくなるからな!」
そう言うと、奴は詠唱を始めたので…。
隙だらけの奴を杖に溜め込んだ魔力でぶん殴った。
奴はぶっ飛んで気絶した。
「自分の使った魔力でやられるなんて、とんでもないザコ四天王だね。」
(しかし、エミリアちゃんの体…。超強いな。)
奴の負けが決まり、魔王軍は撤退していった。
「え~もう終わりなの~つまんな~い。」セレスの体の主が言うと、
「ワタクシの体でその締まりの無い発言は止めてくれないか。」
と侑名の体のセレスは言っていた。
「どうする?このバカに言って戻してもらう?」と私が言うと、
「エミリアは~、このままでいいで~す。あたしの体はユウナちゃんにあげるよ!」と槍の主は話した。
(それはエミリアではなく、お前の意見だろう?)
「ワタクシがこんなに強いなんて思わなかった。この体が欲しい…。」
セレスは最強の侑名の体がいいと言ってしまった。
「エミリアはどうなんだろうか?」
私は呟いて、隙を見てセレスの体から槍を奪うと、
しばらくしてエミリア本人が起きた。でも、
「だから~。あたしはこの体がいいの!だって胸が小さいし、動きやすいし、暴れまわるの好きだもん!」
槍を持たせたらエミリアの人格が壊れていた。
「ワタクシはこれくらいのちょうど良い胸と締まった体が理想的だった。」
(あっ、セレスは貧乳がコンプレックスだったのね…。)
「私はどの体でも最強になれる自信があるからな~。二人にまかせるよ。」
私はすごくどっちでも良かった。
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