第4話 王国近衛兵 vs. 侑名

森の中で戦う事にした私たち。万が一もあるからね。


セレスが、

「行きます!」と言って槍を振りかざした。

「ドゴーン!」?ドゴーン?雷…。


その瞬間、雷が凄まじい早さで飛んできた。


「うわっ。」間一髪で避けた。殺される所だった。


後ろを見たら、森に道ができていた。

(なんて威力なんだよぉ~王様~。ただのチート武器じゃん。)


「隙あり!」セレスが追い打ちしてくる。

ちょっと!セレス。今の見たでしょ?人に向けちゃダメなの、それは。


瞬速の突きが飛んできたので、それをかわして彼女の腕を持ち、その力を利用して腹に蹴りをいれた。


「いった~い!」蹴った私の方がダメージを受けていた。

(硬いよ。腹になに入れてるの!)


「エミリアちゃん!セレスの後ろに回ってそこで待機して!」

 エミリアに雷撃が当たると…、死んでしまう!


「ユウナ様!分かりました!」彼女は素直に指示に従った。


「随分と余裕なんですね。ユウナ様?」

 セレス…。別人だな。武器を持たせると変わる、戦闘狂だったとは。


「手加減は不要みたいだね。セレス。」私は新しい杖を持った。


「こんなに強い人と戦えるなんて…嬉しいなぁ。」

 セレス…。目がヤバいね。


あの槍は振りかざし終わったあとに雷撃が出るみたいだ。なら、


彼女が槍を振りかざした時に合わせて槍先を杖で弾く私。

これなら、雷撃は出ない。突きでも出ないと言う事はある程度の空気を切り裂く必要がある。

RPGあるあるの杖を振りかざさないと魔法が出ないのと一緒の理論だ。


ちなみにこの杖は相手の魔力を封じ込める魔封じの杖だ。

今は、雷撃が出る部分に魔封じの杖をぶつけて雷を無効化している。


まあ、戦士並みの戦闘力が無いと振りの早さにも力も負けて杖が壊れるが…。


「戦士でもない女にここまで抵抗されるなんて屈辱だわ。」

 セレスはまるで何かに憑依されているみたいだ。槍か?



最強の槍を振りかざす相手に杖で弾き続けている侑名を見ていたエミリアは、

「魔導師タイプなのにすごいよ、ユウナ様。しかも使っているのは大量生産品の魔封じの杖だよ。」とあまりの強さに感動していた。


しばらくは競り合いの攻防が続いたが、


「そろそろ限界なんじゃないの?セレスの体は。」

 私は槍の主に問い掛けた。


「いや、ワタクシはまだまだ大丈夫よ、ユウナ、様。」

 こんなに耐えられる。セレスの戦闘力は相当な物、なんだろう。


(こっちも雷の発生を抑えるだけで反撃すらできない。けど、このまま行くとセレスの体が持たなくなって、倒れちゃう…。)


でも、これなら…。

「エミリアちゃん!杖貸して!」私が話し掛けると、


「はい!ユウナ様!」彼女が近づいてきたと同時に、セレスの後ろに回り込み、杖を受け取った。


「ユウナ様、そんなことしたら、エミリア様に雷が当たっちゃうよ?もう避けれないよ?」セレスが笑みを浮かべながら話した。


「避けないよ。次で決めるから。ポニテの私が武器を二本、持ったらどうなるか見せてあげるよ、セレス。」


「まだ、ワタクシより強いと思ってるの?こっちには必殺技があるのに…。」

 セレスは奥の手があるみたいだ。


「エミリアちゃん。私の真後ろにいてね。」

「はい!ユウナ様。」


「ふふっ。行くね。ユウナ様!」

 セレスは一気に間合いを詰めて渾身の突きを私に繰り出した。


 そして私は、突いてきた槍の装飾部分を杖二本で全力で振り払った。


「何!」セレスが油断した瞬間、

 自分の杖で彼女の腹をフルスイングして吹き飛ばした。


 吹き飛ばされた彼女は地面に倒れてしまった。


「エミリアちゃん。セレスに回復を!」彼女の杖を渡した。


「はい!今すぐに。」

 そう言うと、セレスの元に行き回復魔法を掛け始めた。


私は地面に刺さっている槍に、

「まあまあ、楽しかったよ。今度また戦おうよ、槍の主とセレス!」


 そう告げて戦いを終えた。

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