第3話 王への謁見と報酬

 翌日、王国の王様に呼び出しを食らった。


「そなたが魔王軍の幹部を倒した者か。」王様が聞いてきた。

(あれが幹部?魔王軍はザコ集団なのかな?)


「はい。弱くて相手になりませんでした。」


「頼もしい限りだな。褒美を授けよう。」

 王様が手を叩くと従者が武器を持ってきた。


「王家最強の槍、雷神の槍だ。」王様が説明する。


雷神…だから、制作会社さん。いきなりこんな武器を入手するフラグを立てたらダメだよ…。誰も武器屋で武器を買わなくなるよ。武器屋さんが王様のせいで廃業だよ!分かってる?


「どうしたのだ。受け取らないのか?」王様は太っ腹だね。


 ただ、私、装備出来ないからね。重すぎて持てもしないから…。


「従者さん?名前は?」武器を持ってきた、近衛兵に話し掛ける。

 従者さんは王様にお伺いを立てたあと、名を名乗った。


「ワタクシはセレスと申します。お見知りおきください。英雄の…。」


「私は侑名だよ。侑名ちゃんと呼んでね。」


「はっ!ユウナ様。よろしくお願い致します。」

 挨拶が堅いな。美人なのに残念なキャラ。お堅いのは役職病だな。


「その槍。セレスにあげるよ。装備出来るだろうし、使えるでしょ?」

 美人戦士は近衛兵に必須条件だからな。


「ワタクシにはこのような代物、勿体ないです。」


「だって、私は装備できないから武器屋に売っちゃうよ?いいの?」


「それはなりませぬ!国宝なのです!」彼女はあれこれ、拒んでくるから、


「王様!お願いがあります!」私は尋ねた。


「なんだ。申してみよ。」王様は聞いてくれた。


「この槍とセレスを頂けますか?彼女の力を借りて魔王を倒してきます。」

 そこまで拒むのなら、仲間にしてパーティメンバーに加えよう。


しばらく王様は考えたが、

「よかろう。ではセレス、命令を下す。その者と雷神の槍を持って魔王を討ち果たしてまいれ。」


「はっ!かしこまりました。」やった~、美女戦士ゲットだね。



そのあと宿屋に戻り話をしていた。

「エミリアちゃん、魔王ってどこにいるの?」

 私はラスボスの居場所を聞いていた。


「正確な場所は分かっていません。勇者様なら存じているはずです。」

 勇者!それだよ。物語の主人公は仲間にしないと。


「勇者様はどこにいるの?」と私が聞いたら、


セレスが、

「勇者様は現在、行方知れずになっているようです。」

「洗礼の洞窟で魔王軍主力部隊と攻戦後、洞窟内で軟禁もしくは逃げて近くに潜伏していると考えております。」と答えてくれた。


「死んだりしてないの?」


「勇者様が亡くなると、すぐに別の者が勇者に選出されます。」

(勇者が死亡したらゲームオーバーでニューゲームだから、また新しいのが誕生する…RPGあるあるだね。)


「次の勇者が選出されないから確実に生きてる、って事ね。」


次の目標も決まったし、

「じゃあ、洗礼の洞窟に行きますか~。」私が言うと、


「話を聞いていましたか?魔王軍の主力がいるのです!なんの策も無しに飛び込むなんて自殺行為です。」セレスが必死に話している。


「ユウナ様、ここはもう少し冷静に考えて行きましょう。」

 エミリアちゃんも止めてくる。


「あ~あ、大丈夫だよ。一人で行って蹴散らしてくるから…。」

 私は最強だからな。負けようがないのだ。


「でも、一応、鈍器くらい買っていこうかな…。」

 私はそう言うと武器屋に向かっていった。


武器屋で私はある杖を買っていた。お金は?って言うと、英雄からは頂けないと言われたので、お言葉に甘える事にした。


「ユウナ様、杖とは魔力を込めて魔法を放つ、補助をするもので鈍器ではありません。私の杖もユウナ様は振り回していましたが、本来の使い方ではありませんので…。」エミリアは真面目だな。


「なぜユウナ様はやっていることは戦士なのに魔女なのですか?」

 セレスが聞いてくるので、


「う~ん。代々の家系が占い師だからかなぁ~。この世界では占い師は魔女なんだってつい最近知ったよ。」私が話していると、


「ユウナ様は名家の出身でしたか。先を見透す力なんて魔法使いでも出来ない高等な魔術ですから。」彼女は答えた。


職業は魔女ではなく、攻撃魔法とか使える方が良かったのにな…。

火を出したり、雷落としたり、したいじゃん。


「セレスはどのくらい強いの?」

 こう言う美人キャラの能力は壊れているはず。


「ワタクシは近衛兵ですから戦場には出ないのです。戦いは出来ますが。」


「じゃあ、手合わせをしとこうか?強さの確認だよ。」


「では、訓練用の武器を…。」セレスが言うので、


「その槍を使って殺すつもりで来なよ。戦いをあまり舐めちゃダメだよ。」

 私のこの一言を聞いたセレスの目が変わった。


「では、全力でいかせていただきます!」セレスは挑発に乗りやすいのか。

(だが…その気概、セレスは槍に選ばれるだけはあるな。)


 私たちは手合わせすることになった。

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