だって話術士の才能が俺を呼んでたんだもん( *¯³¯ )
わらびもち
決意、実行、影と君
ファンデルワールス監獄
大波吹き荒れる太平洋の中心。
1つの大きな監獄がそびえ立つ孤島がそこにはあった。
重々しく禍々しいそれは、見るものの息を詰まらせる。
この光景を見た事のある者は限られているため、都市伝説の1つとなっている。
そう、脱獄不可能の最強監獄として・・・。
◇ ◇ ◇
「12番、13番、14番・・・、、、」
毎朝恒例の点呼が始まっていた。
あーめんどくせぇなー。
そろそろ潮時だし脱獄でもしよっかな。
「14番!14番!!fourteen!!!
返事をしろ!!」
「はい!」
ったく、俺にはラリアンスって名前があるってのに十進法で呼びやがって。
朝の点呼が終わり労働に入る。
「ラリアンス、お前今日ぼーっとしてただろ。こんな監獄に5年も閉じ込められてりゃおかしくもなるか。。。」
「ちょっと考え事してただけだ、問題ない。
それよりサック、お前に提案がある。
今夜俺とここを出ないか?」
サックは目を見開きラリアンスに向けたあと辺りを見回す。
それもそのはず、こんなことを他の人、ましてや看守に聞かれては大変だ。
「・・・おいおい、本気で言ってるのか?
ここは脱獄不可能のファンデルワールス監獄だぞ。しかも、脱獄したとしても太平洋のど真ん中、逃げる場所なんてどこにもありゃしない。」
サックが声を潜めて言う。
まぁ、普通ならそういうだろうな。
「俺とお前の能力、実力があれば造作もないと思わないか?それに奴の協力はもう得た。」
ラリアンスの言葉にはオーラが乗っていた。
刹那サックの動向が揺れる。
「ラリアンス、、、確かにそれなら少しは現実味が出てくる。しかしなぁ・・・」
「炙りチャーシュー!」
サックの言葉を遮るようにラリアンスが言い放つ。
その言葉には脂が乗っていた。
「分かった、その話乗らせてもらおう。」
***
その日の19時、最終点呼を終えたラリアンスは1人脱獄の計画を巡らせていた。
サックにはああ言ったがどうやって脱獄してやろうか・・・。
でもそろそろ約束の時間だ。計画もそこそこに実行しなきゃ始まらねぇからな。
「『こそあど言葉』」
オーラの篭ったその言葉が獄内に響き空気が揺れる。
そこにもうラリアンスの姿はなかった。
***
「サック、リュックは持ったか。」
「lack」
ラリアンスの問に短く答える。
「まぁ、なくてもいいか。
それより時間がない、早く奴のところに行くぞ。」
「OK brother.」
サックがラリアンスの腕を掴む。
「『こそあど言葉』」
空気が揺れ2人が姿を消す。
***
監獄内に一つだけある購買。
珍しい制度だ。
これも脱獄できるはずがないと思っているからこそ見せれる政府の余裕ってやつなのだろう。
「1001201220201・・・」
「おいおい、俺らの前では二進法で話すなって言ったろ?」
「悪いねぇ、つい昔の癖が抜けないもんで。」
サックに咎められ二進法から言語を改めて言う。
「ぽまえら12.658秒の遅刻だ。」
「すまないラブハゲ、看守のやつがいつもより長居しやがったんだ。」
「ラリアンス、俺はぽまえを信じるからな...」
「あぁ、任せとけ。」
オーラの乗ったその言葉は、2人に信頼をもたらした。
廊下を駆ける3人。
前には黒く鈍い鉄格子。
「サック頼んだ。」
サックが頷くと、鉄格子に中指を立てる。
「『fuck!!』」
驚いたように鉄格子たちが溶けていく。
「おい、声が大きすぎだぞ。」
案の定看守の耳にも届き、後ろから2人の看守が追ってくる。
「お前たち!!何やってる!!
早く戻ってこい、14番、26..番??あれ?お前何番だっけ?」
「いちいちうるさいヤツらじゃなぁ。」
ラブハゲが購買で買ったポテチの袋を開けると、中身を握りしめ拳を振り上げる。
一直線に拳を振るうと同時に青い閃光が走る。
「『
轟音と共に凄まじい勢いで波動が伝わる。
「『鉄塊』」
ガィィィン
看守の1人が波動を受け止める。
「3年連続シールドオブザイヤーに選ばれた俺のシールドをなめんなよ!」
ラリアンスは振り返る。
、、、看守が1人居ない。確かにさっきまで二人で追ってきていたはずだ。
一体どこに・・・。
「『up!!』」
サックが唱えると溶けていた鉄格子が原型を取り戻す。
「おい!待てお前ら!!」
「これで看守は追ってこれやしない。」
サックは得意げに言う。
しかし監獄を出る最後の一歩を踏み出そうとした瞬間、足が完全に地面から離れなくなる。
「一体どういうことだ!?」
慌てるサックにラブハゲが説明する。
「ファンデルワールス力、、それがここを脱獄不可能と言わしめる所以だ。
ここから出るには強力に改造されたファンデルワールス力以上の力を加えなきゃ出れないってことよ。」
「『水素結合』」
ラリアンスが試しに唱えてみるが結合先が見つからないためなんの効力も発揮しない。
「どうすりゃいいんだ・・・。いや、まてよ。」
ラリアンスが閃く。
3人は地面に強力に張り付いた靴を脱ぎ外へ出る。
***
監獄の外に出た3人は達成感と潮風を身体全体に感じ、一息ついていた。
「ついにやったな!」
「ああ、俺らにかかれば余裕ってことよ。」
「わしが脱獄出来ないわけがないんでねぇ。」
月明かりに照らされて出来た3人の影のうち1つが不穏に揺らめく。
「なんだ!?」
ススっと影から人が現れる。
そう、さっき追いかけてきた看守の1人だ。
「お前ら、なぜファンデルワールス監獄の中で能力が使えた。
看守の持つムササビの爪を盗んだのか?」
身なりからしてこの監獄の獄長だろう。
ラリアンスは彼の問いに答える。
「俺の職業『話術士』の能力のひとつ、『仮定法』を使ったのさ。
If I could have used my abilities.
話術士は言霊を媒介とするから俺の能力を封じたけりゃ俺の口を封じるしかないってこと。
監獄に張られたチンケな結界じゃ俺の能力は封じれないぜ。」
「なるほど、、そういうわけか。。。
たがしかし、監獄を抜け出したとしても太平洋のど真ん中にあるこの島から抜け出せなければ意味はない。さぁ、どうする。
どっちにしろお前らは極刑だがな・・・。」
「『仮定法』If I...」
「させるか!」
ラリアンスが能力を使う前に獄長パセリが黒い閃光を飛ばす。
「『
ドォォォォン
青い閃光と黒い閃光がぶつかり島全体に衝撃が走る。
「あ〜あ〜、今のでポテチ25g使っちまった。もう『
「ねじ、、
獄長パセリが胸ポケットから取り出したねじをレジに変化させる。
「お前らはこれで終わりだァ!!!」
何倍にも膨れ上がり、島の半分程まで肥大したレジを投げつけようと力を込める。
「『やめようぜ!』」
ラリアンスの言葉には子供心が篭っていた。
「・・・たしかに、、俺も熱くなりすぎた、、
すまない。」
パセリは大きくなったレジを元の大きさのねじにもどしポケットに収めると、反省したようにうつむく。
「『こそあど言葉』」
ラリアンスとその腕を掴んでいたサック、ラブハゲは瞬間移動する。
「ん?・・・え?なんで?、、え、今なんか和解みたいな流れじゃなかった?
に、、逃げるの?・・・・・・ふぁ!?!?!?」
3人はとある街角に来ていた。
「やっぱり俺たち最強だな!!」
サックが2人に言う。
「誰がハゲや!」
ラブハゲが自分の頭を叩く。
「はぁ、やり遂げたな。
みんなで遊びに行くぞ!!」
ラリアンスが呼びかける。
はぁ、脱獄って名目で初めて俺にも友達ってやつが出来た・・・。
平穏よりも仲間がほしい。。。
だって話術士の才能が俺を呼んでたんだもん( *¯³¯ ) わらびもち @warabimochi5000
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