16ですわ
辺境伯領に漸くたどり着きました
領民の方々が熱烈に歓迎してくださいましたわ
「女伯爵様だよ!かっこいいね!」
「カッコいいって言うより 綺麗だよ」
「あれが そんなんだろう?」
「お一人で馬車じゃなくて 馬に乗られてきてるのがいいじゃないか!」
「なんでも 一緒に前の宰相様や元帥様も来ていらっしゃるんだろ!凄いねぇ!」
「お二人とも 女伯爵様のお祖父様らしいよ」
「そうなんだね!じゃあ 凄く偉いんだね」
「公爵様のご令嬢なんだってさ 王子様の婚約者だったけど 王子様は婚約破棄して平民になって他の女と 追放されたってよ」
「あら 可哀想じゃないか 健気だねぇ」
「そうだよ 婚約破棄されたのに それでも国の為にこんなところに 来てくれて ありがたいねえ」
「誰か いいお相手でも いればねぇ」
おばちゃん達の話が聞こえてきて
少し 照れているアイリス 横を通った時に
「アイリス様~~!」
「伯爵様~こっち向いて~!」
と とある未来の国のアイドルファンみたいに叫ばれたものだから 思わずそちらを向いて ニッコリしながら 手を振った
「「「「「きゃ~~~~~~」」」」」
いつの時代も変わらぬもの
それは ファンの絶叫
「アイリス 凄い人気だな」
「恥ずかしいわ さっきは王子様に婚約破棄されたのに 国に尽くす健気な女伯爵って言われてたし」
「いいじゃないか 歓迎されてて」
ユアンの言うとおりで 何の実績もない小娘が領主としてきたのに 歓迎してくれるなんて ありがたいのだけど 不安もありますわ
「ユアン 昨日あった 隣国の兵達の事なんだけど……」
「あぁ どうした?」
「着いてすぐで悪いんだけど ちょっと 領土で 国境付近の 巡回がどうなってるか 確認したいの」
「わかった 今どうなってるか確認しておく」
「ありがとう あと 改善するところがあれば 教えてくれる?」
「分かってる」
「ありがとう」
アイリスのやつ 副官の俺に遠慮が無くなったようだ ちょっと先に進んだかな?
「アイリス様 ユアン様 元帥様 宰相様
よくぞ 入らしてくださいました 」
「いらっしゃいませ!」
館の執事 使用人達が 迎えに出てくれていた
「お出迎えありがとうございます これから宜しくお願いしますね」
「畏まりました では まず お荷物を 各お部屋に運ばせますので お茶などいかがでしょうか?」
「そうさせていただきますね ジャスミンお祖父様達とユアンに伝えてくれる?」
「畏まりました」
「執事さんは お名前は?」
「はい セバスチャンと申します」
「セバスチャンね こちらが ジャスミン わたくしの侍女ですわ 」
「セバスチャンさん 宜しくお願い致します」
「こちらこそ 宜しくお願いしますね」
「では アイリス様 こちらにどうぞ」
辺境ではあるので 館と言っても 要塞にちかい それでも 中に置いてある調度品はかなりの上等のものだ
「ほう なかなか 凝っておるな」
「でたな ト―マスの美術鑑賞」
「これは いい暇潰しになるわい うちの姫さんも こちらに呼ぼうかの 喜ぶぞ」
お祖母様は もと王女様なので 公爵家のお祖父様は 姫さんと よく呼ぶ
侯爵家のお祖父様は 昔の癖が抜けないらしく
「それはいい 王女様もお主がおらぬと 退屈じゃろうて 警護のものをちと 増やさぬと危ないの」
「そうじゃの まさか 昨日隣の国のもんと出会うとは思わなんだ 」
「思ったより ちょっかいをかけにきとるな」
「先程 アイリスがユアンに確認をさせておったから それが分かってからにするかの」
「うむ それが安心じゃな」
サロンに案内してもらいながら 色々と話をしている
「こっちらが サロンになります 今お茶をお入れ致します 一緒に置いておりますお菓子は この地方の昔からのお菓子でございます お気に召されると よいのですが」
お茶を入れてもらい 皆で喉をうるおすと
「あぁ やっと着いたのですね」
「初めてにしちゃ まあまあだろう アイリスが根をあげるとは 思ってもないけど」
「ただやはり 隣国が気になりますわ 領民が安全に暮らせるようにしなければ」
「そうじゃのぉ ん!これは 美味しい!」
ト―マスお祖父様が 進められたお菓子を食べてみると 素朴で 昔懐かしい味がした
「どれ…………おぉ 懐かしいのぉ」
お祖父様達が揃って 美味しいと言われるので
「では わたくしも…………優しい味ですわ このお茶と 合いますわね ユアンも食べてみて」
アイリスが皿を差し出すと
「あぁ これは何個でも行ける お代わり」
「気に入っていただいて 嬉しゅうございます お代わりはいくらでもございますゆえ 」
使用人が お代わりの皿を持ってきた
「お茶のお代わりもどうぞ このお茶もこの地の物でございますよ 王都にはあまり出回っておりません 数があまりとれないので この地で消費するのでいっぱいでございます」
「そうなのね 飲んだことない味だと思ったけど 美味しいわ」
「おれは このお菓子 気に入った」
「わしはこの館の美術品じゃな」
「なんじゃなんじゃ お主ら もう お気に入りか ワシは……」
「元帥様 後で 馬をご覧になられては? この自然で鍛えられておる 軍馬がなかなかのものでございますよ」
「なに 前は 普通の馬じゃったろ?」
「ええ ところが 隣の国のから 何頭か迷い込むのですよ なのでそこから 生産を管理して少しずつ増やしております これに関しては 隣国様々でございます」
「成る程な 隣国は軍馬の名産地 そうか だが その様な報告はあがっとらんぞ」
「はい まだ10頭位でございますれば…」
「そうか では 後でみにいくとしよう」
「畏まりました」
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