14ですわ

「ユアン様が……副官を……えっ?王子様?えっ?えっ?」

「アイリス 落ち着け 俺もアイリスの副官で行くことにしたからさ 宜しくお願い致します!」

「ユアン様……」

「その、ユアン様はやめてくれないか? 昔みたいに呼んでくれないかい?」

「ぇ!」




「よろしいのですか?」

「あぁ そっちの方が 副官が様ってついてもな……」

「………ユアンおにいちゃま」

「いや!そこまでなくていいから!」

真っ赤になるアイリス

「やっぱり そこまでなくてもよろしいですわね」


「ユアンって呼んでくれよ」

「よろしいのですか?」

「あぁ ほら」

「ゆ、ゆ、ゆあ、ユアン!」

「出来るじゃないか 次からそれで」

「分かりましたわ」




出立の時間が来てしまいましたわ

「アイリス 馬車で行った方が良いのでは?」

「いえ いくら女とはいえ 格好がつきませんし 女性騎士の方もいらっしゃいますし この方が 気分もいいです」

「そうか では 気をつけて行くのだぞ 元帥やお祖父様の言うことを ちゃんと聞いて……」

「お父様 大丈夫です!そこまでの幼子ではありません!ふふふ」

「いつまでたっても子供は子供だよ 父上!元帥!ユアン様!宜しくお願い致します!」

その声に合わせて皆様に頭を下げお願いする家族と使用人の人達


「大丈夫じゃろ ちゃんと見ておるで」

「では 行ってまいります!」

「気をつけてな なにかあったら すぐ知らせなさい 行っておいで」

「はい!」


先頭の馬が進み出す

少し駆け足気味に 馬を走らせる


「とうとう 行くのね 頑張らなくっちゃ」





順調に行程は進み 初めての昼食

「止まれ~昼食をとる!」

「どうだ アイリス つかれたか?」

「そうですね こんなにずっと馬に乗っているのは あまりなかったので 少しだけですが でも まだ大丈夫ですよ」



辺境の地にいくのだ

それでも 王都には近い所で 馬で4日馬車なら6日ほどの距離である


「先に出ている部隊とは あと2日程で追い付くかしら」

「そうだな こちらは 馬車があるとはいえ ほぼ 皆馬だから 早く追い付くだろう さあ 準備が出来た様だ 早くいただこう」

「ええ」


出かける前はユアン様だったのが 途中で色々と話をしていたのだろう 以前の幼なじみの感じに戻っている


「お嬢様 お疲れでは?」

馬車から降りてきたジャスミンが心配して聞いてきた

他の侍女は置いてきて ジャスミンのみを連れてきた 気を使わなくてもいいように


「大丈夫よ ジャスミンこそ 疲れたのでは?」

「お尻が…少し痛いです……」

「それは 仕方ないけど クッションになるものを見つけなくては……」

「いえ 大丈夫です 大旦那様もいらっしゃいますし お話を色々とお聞かせくださり 楽しいですから 道中は気になりません」

「そう じゃあ 昼食いただきましょうか」

「はい」




皆が食べ終わり 後片付けをしていると

「アイリス 午後は少し早めようと思うけど どうだ?」

「夜はこの先の町に泊まるということですね」

「あぁ 初日だし 残り2日は夜営になるだろうからな 休めるうちは 休んどいた方がいいだろう」

「わかりました 皆に伝達をお願いします」

「わかった」




午前中よりも 早い速度で進み 夕暮れ前には 町に到着した

流石に 全員1つの所に泊まれるほどの宿屋はなく 3つに分かれてとまることになった


「お嬢様 ではこちらのお部屋になります 私も 同部屋になるのですが よろしいですか?」

「もちろんよ 大勢で押し掛けてしまって 宿の方も大変だし お部屋も足りないだろうし」

ジャスミンは子爵令嬢である 王宮や高位の貴族がそうである様に 男爵 子爵の娘を侍女で雇う 行儀見習いの意味合いもあるが 結婚相手を探すこともある



「お風呂が あまり ないようです なので分かれて順番で入られる様です」

「わかったわ では先にいただいて 早く出ましょう 後の方も さっぱりされたいでしょうから」

「はい」




ちゃぽん

「ふう やはり疲れるわね でも慣れないと」

「そうですわね あ 髪につける 香油を忘れました 取ってまいりますね」

「ありがとう」





「ふう さっぱりして 早く飯たべたいな」



バタン



「!誰です?」

湯船に深く入り身を隠すアイリス


「え!アイリス?ごめん!知らなくて!」

「ユアン?」

「ごめん ホントに知らなくて 出ていくごめん!」

「ジャスミンが来る前に!早く出てくださいませ!」

「ごめん わかった!」


バタン



「ビックリしたわ!」

.。o○ブクブク

目の下までお湯に浸かり 真っ赤になっているアイリス 鼓動がうるさい



バタン

「アイリス様?」

「ジャスミン 」

「のぼせたのでしょうか 顔が真っ赤になっております 香油は 部屋で軽くつけましょう」



まぁ のぼせたんじゃなくて 羞じらいですよね アイリス



「そ、そう?赤いかしら そうねちょっとぼぉっとしてるかも」

「疲れてらっしゃるかも 体お拭きしましょう」

「ありがとう」

ユアンが入ってくるなんて……ジャスミンに言った方がいいかしら……


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