魔法使いのノンちゃん

@ramia294

第1話

 魔法使いのノンちゃんは、空を飛んでいます。

 ノンちゃんは、魔法使い。でもホウキに乗っているわけではないのです。

 ノンちゃんが、乗っているのは大きな焼き鳥。

 お肉とおネギが順番に。

 ホクホク美味しい焼き鳥串。


 ノンちゃんは、おネギの上。

 相棒のワンちゃんは、お肉の上。

 ワンちゃんの名前は、ビールです。

 魔法の国のミニチュアシュナウザーです。

 どうぞよろしくお願いします

 ビールと焼き鳥は、仲良しこよし。

 とっても長いお付き合い。


 ノンちゃんは、魔法使い。

 でも、空を飛ぶことの他にできること。

 焼き鳥を作ること。

 焼き鳥に変えること。

 焼き鳥を食べること?

 ただいま、魔法の修行中。

 たくさんの魔法が使えるように、ただいま魔法の修行中。

 笑顔をたくさん作りましょう。

 喜びの涙をたくさん作りましょう。

 作れば、使える魔法がまた一つ、もう一つと増えていきます。


 ある日、北の空を焼き鳥に乗って飛んでいると、同じく空を飛ぶものがありました。

 お尻から火を噴く太い棒。

 ノンちゃんには何だか分かりません。

 街や村に落ちると危険なので、魔法で焼き鳥に変えました。

 とてもきれいな街に、たくさんの焼き鳥が落ちていきます。

 街には 、お腹を空かせた人たちがいっぱい。

 みんな笑顔で食べました。

 みんなの笑顔にビールは喜び、しっぽをフリフリ。

 街中を駆け回ります。

 ワンワン吠えて駆け回ります。

 街のみんなが持つコップには、金の水が、湧き出しました。

 飲んでも減らない金の水。

 美味しい、美味しい金の水。

 みんなは口に泡をつけ、赤い顔して喜びました。

 平和が一番と喜びました。


 ノンちゃんに、この国の大統領からコップがプレゼントされました。

 ノンちゃんのコップにも金の水。

 初めて口をつけました。

 少し苦くて大人の味が。

 でも焼き鳥を食べながら飲むと、とても美味しいことに気づきました。

 たくさん飲んだノンちゃん。

 赤い顔したノンちゃんは、眠くてその場で寝てしまいました。

 

 焼き鳥串のその上で、眠り込んでいるノンちゃんと心配そうなビールです。

 涙の国のノンちゃんのご両親。

 ノンちゃんのそばに現れました。

 焼き鳥串に乗っています。

 困っているような、

 笑っているような、

 ノンちゃんを心配しています。

 ノンちゃんをそっと抱き上げて、魔法の国へと帰ります。

 涙の国へと帰ります。

 ノンちゃんの焼き鳥串は、ビールを乗せてついていきます。


「今回は、たくさんの命を救ったということで、合格でいいかな?」


 お父さんが、言いました。


「普段は、厳しい王様も自分の子供には、甘いのね。でも今回は特別」


 お母さんが言いました。


 知らない間に、たくさんの命を救ったノンちゃん。

 おめでとう。

 魔法が一つ増えました。


 ノンちゃんのお父さん。

 魔法の国の王様です。

 魔法の国で涙の国。


 その国は、感動の涙のふるさとです。


           おわり



 

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