第6話 チュートリアル的初戦闘だったもの

 俺たちが森を駆け抜けると、奥から女の子の悲鳴が聞こえてきた。


「ミケ、木登りはできる?」


「にゃ!」


 ミケが頷くのを見て、俺は手早く指示を与える。


「じゃあ木に登ってゴブリンの数を数えてくれ。その後、牽制に弓を一発射ってくれ。そして、そのあとは後は遊撃を頼む。後はさっきの通りで。リンは余裕があったら魔法でのコンビネーションを試してみよう。それじゃあよろしく。」


「にゃ。」


「任せる」


 二人ともうなづき、ミケが木に登りゴブリンの数を

数えてくれた。


「全部で5匹にゃ。」


「わかった。じゃあ弓を射ってくれ。」


 そう俺が言うと、ミケが木の上から弓で射る。そうすると矢が当たったのか、”ごぶー”とゴブリンの声が聞こえた。


「よし、作戦通り行動を。」


 そう言うと俺達はゴブリンの前に飛び出していった

 森の中の少し開けた場所に出ると、緑色の肌をした小さな二足歩行の生物を見かける。うん一般的なゴブリンの姿だよな、あれって。

 悲鳴をあげた少女は大木の根元に追い詰められていた。ちょうど、俺たちがその横から飛び出した状態だったので、正面にいるゴブリンに俺が剣を向け、少女を庇うような立ち位置に立つ。


「大丈夫か。安心しろ、助けに来た。」


 俺はそう告げると、ちらっと他のメンバーの立ち位置を確認しゴブリンとの戦いに集中する。


「俺が右、ミケは左、コゼットが中央でみんなを守ってくれ。後衛二人は弓で援護を。みんな行くぞ。」


 そう言って俺たちはゴブリンに向かって攻撃を開始した。俺は右側にいたゴブリン(仮称A)ゴブリンを剣で切る。


(うまく当たってくれよ)


【シークレットダイスの効果を発動しました。CPを一点消費します】


 そういった声が聞こえたかと思ったら剣がゴブリンをすり抜けるようにスパッと切れてしまった。って、これクリティカルかよ、ひょっとして。ゴブリンはそのまま、こと切れてしまったようだ。


 周りを見ると、ミケはうまい具合に回避しながら、ゴブリンを翻弄しているようだ。コゼットは2体のゴブリンを相手に盾や斧を使いいなしている。


 残った一体のゴブリン――最初にミケが弓を当てたやつは、どうやら矢が目に刺さったらしく出遅れていた。そのゴブリンに対し俺は剣を振った。うまく矢が刺さった方から攻撃を仕掛けたのでうまく綺麗に首をはねることができた。


 俺はリンやメリーの弓の射線に入らないように気をつけながら、コゼットが押さえてくれている2体のゴブリンに攻撃を仕掛ける。リンには風魔法で攻撃を仕掛けるよう指示しながら、残る3体もうまく倒していった。






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本日5月1日に新作『最強の王妃』を公開しています。

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