第7話 中学校三年(転移無し)
女子のほとんどがその笑顔にやられてしまったようだ。席は
「やあ、君は本当に男かい? そうなら僕は負けてしまってるね」
なんて訳のわからない挨拶をされたけど、笑って誤魔化した。
休み時間になって
「どうだろう? 僕はまだ来たばかりでよく知らないから、学校を案内してくれないか?」
「お断りだね。女子なら喜んで案内してくれるだろうから、女子に頼むと
すると何故か傷ついた顔をする光輝くん。しかし、腕は離してくれたから剛太の元に向かった。
そして見てみると、クラスの女子に囲まれてにこやかに話をしている光輝くんが居た。
「どうした? 薫、捕まってたみたいだけど」
剛太が聞いてきたので、
「ふーん、アイツも友達が居なくて寂しいのかもな。
言われた将暉くんが剛太に突っ込んだ。
「イヤイヤ、言い出したのは剛太なんだから、剛太が話しかけてやれよ」
「フン、俺は心友以外の男に興味は無い!」
ハハハ、相変わらず剛太はブレて無い。
「アレだけ女子が居るんだから、誰か案内すると思うよ。だから、大丈夫だよ」
「そうだよな。俺もそう思うよ」
そう言った所に衣里ちゃんが来た。
「剛太、薫、将暉、今日も師匠の所に行くんでしょ? 今日は薫が私の相手をしてね。今日こそは一本取ってみせるから!」
衣里ちゃんが貴広オジサンの所で学んでいるのは小太刀だ。
「衣里、薫から一本取るのは難しいぞ。俺でも油断してたら一本取られるからな。将暉だってまだ、薫には敵わないし」
「フッフッフッ、我に秘策ありよ。剛太、見てなさい。今日は私が一本取るわよ」
衣里ちゃんは何か策がありそうだ。それでも
「うん、それじゃ今日は衣里ちゃんの相手をするよ。秘策が何かも知りたいしね」
「フッフッフッ、薫。いい度胸だわ。放課後が楽しみね」
「そうだね。僕も楽しみにしておくよ」
そして、アッという間に放課後に…… はならなかった。
とにかく隣の光輝くんがやけに馴れ馴れしいのだ。教科書が前の学校のと違うからと言って、
「今日の放課後に町を案内してよ」
とか、
「誰か付き合ってる人はいるの?」
なんて聞いてくるから鬱陶しくて。それが放課後まで続いたから、
「四人でどこに行くんだい? 良かったら俺も連れて行ってくれないかな?」
なんて言うんだよ。もう、
「アラ、見て分からないの? 私達、これからダブルデートなのよ。私はコッチの将暉と付き合ってるし、薫は剛太と付き合ってるから、貴方が来たら邪魔になるわ」
よりによってなんて断り文句を言うんだって思ったけど、そこで剛太が光輝くんに
「ずっと見てたけど、初対面であの態度はダメだと思うぞ。都会では通用するかも知れないが、ココは田舎だしな。それに、薫はお前に興味が無いから、諦めろ」
とマトモな事を言った。
「クッ、そんな事は無い! 薫ちゃんは俺の魅力にまだ気がついて無いだけだ! 必ず俺のモノにしてやるからな!」
そう捨て台詞を吐いて光輝くんは去っていった。
「あいつ、大丈夫か? 薫の事を薫ちゃんなんて言ってたけど。そりゃあ、男の俺から見ても薫は美少年だけど…… ひょっとしたらあいつってソッチの性癖持ちか!? 薫の貞操の危機だ! 明日から俺と席を変わろう、薫」
うん、気付いてないのは知ってるけど、そろそろ気付いて欲しいなぁ。でも、まだ我慢。
それにしても、光輝くんって本当にソッチなんだろうか?
それなら、
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