第11話「時計」

 ピピピピ!

 ピピピピ!


 カチ。


 私は夢からうつつへと呼び覚ます時計のアラームを停めてその時間を確認した。


【04:66】


「あれ…まだ五時前じゃん……」


 六時丁度にセットしていた筈の時計のアラームはなぜか五時前に鳴っていたらしい。

 私は損した様な気分になりながらも、どうせあと一時間後に起きなくてはならないのだからと眠気を堪えながら体を起こしながらテレビを点けた。


『続いては全国の天気予報です。』


 テレビの画面ではいつも部屋を出る直前にやっている天気予報が始まっていた。


「はあっ!?えっなにこれ!?ちょっ!完全に遅刻じゃん!?」


 慌てて飛び起きた私は遅刻するという連絡とその謝罪をするためにスマホを取り出して画面に目をやると…


【04:38】


「あれ?え?まだ五時前?」


 思わず呟きながら再びテレビ画面に目を向けると、そこに映っていたのはいつもと違うアナウンサーがニュースを読んでいる映像だった。


 寝ぼけてしまった…


 そう思った時に背筋が冷たくなった。

 なぜなら私の部屋の目覚まし時計はアナログであり、そもそも【04:66】という時刻は存在しない…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る